五十話:ただ一人君の為なら
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『そして、願いを叶える権利は、そんな人間の代表……ルドガーとエル。試練を超えて扉を開いた君たちにあるんだよ』
『エルたちに……』
『そう、二人でひとつの願いを決めて。望むなら時歪の因子化だって解除できるよ』
その事にルドガー達は色めき立つが直ぐにエル自身が時歪の因子化の解除を否定し、分史世界の消去を願うようにルドガーに頼む。そんな時ルドガーはビズリーが言っていた言葉を思い出す。
(助ける方法があるとすれば、その娘より先にルドガーか私が時歪の因子化することか。そうすれば時歪の因子は上限値に達し、進行中の時歪の因子化は解除されるだろう)
さらにユリウスの言葉も思い出す。
(……大切なら守り抜け。何にかえても!)
ルドガーはエルを見つめる。今にも消えてしまう小さな少女。エルを救いたい。何に代えても守ると決めた大切なアイボーを。
『さあ、君たちの願いはなんだい?』
オリジンは二人に問いかける。少女を助けるか、世界を救うかの残酷な選択を。仲間達が見守る中、ルドガーはエルを見る。エルは選択をルドガーに任せるらしく、ルドガーの方に顔を向けない。そして黒歌達もルドガーが一体どちらの選択を選ぶのかと固唾をのんで見守る。
『分史世界を、すべて消してくれ』
その言葉にエルはどうせ自分は偽物だから仕方がないという風に悲しそうに目を閉じる。イッセー達はその選択に世界の為にはそれしかないのかとやりきれない気持ちになり顔を俯ける。だが、ただ一人黒歌はルドガーがエルの事を一切諦めていないことに気づいていた。なぜなら、ルドガーの目はこれまで見てきたどの目よりも強い覚悟が籠っていたのだ。
『エルのことは……いいんだね?』
『エルは……俺が助ける!』
オリジンの問いにルドガーは力強く答える。その言葉にオリジンを含めた全員が驚愕の表情を浮かべてルドガーを見つめる。そんな中、ルドガーはエルの頭をポンポンと優しく叩いてオリジンの前へと進み出る。
『ルドガー、まさか!』
ジュードが何かに気づいて叫ぶがルドガーは止まらない。前に進み出たルドガーは大きく腕を広げて光と共にフル骸殻へと姿を変える。すると、強すぎる力故にすぐにルドガーの体からは時歪の因子化により黒い靄が噴き出してくる。それを見た黒歌達はルドガーが何をしようとしているのかに気づき目を見開く。
『自分を先に時歪の因子化させて、エルを助ける気か!?』
『やめて、やめて! そんなことしたら、ルドガーが……!』
|時歪の因
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