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戦闘城塞エヴァンゲリオン
第3話Bパート『夜宴』
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り十手は通常の鉄製でしかない。

「…ただのロボットのパイロットではなかったのか?」
この十手が特殊な力を持つ神器だとでもいうのか。あるいは通常の武器に属性を付与するという術も存在する。剣に炎を纏わせたり、聖なる力を与えアンデッドモンスターにダメージを通し易くしたりといったものだが。
いずれにしても表の世界の人間に持ち得るものではない。


「…それこそ間違いだ。僕をロボットのパイロットと呼ぶな」
「何?…映像が流されていたではないか。貴様が操縦する何とかいうロボットの…」
反論は、次の一言でかき消された。


「僕は。神だ」


  ◇  ◇  4  ◇  ◇


「…正気で、言っているのか…?」
「神に立ち向かう。君こそ、正気か」
目に見えて、ヴェロッキアは狼狽(うろた)えた。嘘をついているようには見えず、そう自称するだけの自信を感じ取ったのだった。

「くっ、認めん。その自信、数の力で()り潰してやる」
そう言って指示を下すと、奴隷化した参加者たちがヒデオに殺到した。

「僕の世界に。君は不要だ」
十手を振りかざし。
「…今宵(こよい)の拙者は、血に飢えているでござるよ」
その十手――“岡丸(おかまる)”というらしい――が物騒な台詞を呟く。

じつは先程からの立ち回りは岡丸が自律的に動き回っていたものであり、数メートルをひと飛びで跳躍したように見えたのも岡丸に引っ張られた結果だった。ヒデオの体重が軽いこともあってそんな動きになったのだ。

今もまた、ヒデオ自身はふらふらと無造作に人数の密集したあたりに向かう。足元も覚束(おぼつか)ないヒデオを引っ張りあげつつ、むちゃくちゃな体勢から一振りで、襲い掛かる数人を殴り飛ばした。

「なんなんだ。この見たことも無い戦い方は!?」
謎の動きで見る間に敵を打ち倒していくヒデオに、ヴェロッキアは戦慄した。常識が通じない相手というのは彼のような闇の眷属の専売特許だったはずではないのか。

「若っ、危険です。お下がりを」
彼の執事がそう言って前に立つ。たしかに先程の後頭部のダメージがまだ残っている。

と、執事に気取(けど)られることなく接近する影。

「サンゼルマンっ」
執事への警告は手遅れで、背後からの一撃で執事――サンゼルマン、は昏倒させられる。

「勝負はまだ始まっていないが。まさか、卑怯だぞ。とは言うまい?」
大佐だった。

「お、おのれ。よくも我の忠臣を…」
大佐が持つ今の武装であれば、吸血鬼であるヴェロッキアに大したダメージを負わせられないだろう。しかし用心して、奴隷化した参加者の一部を大佐との間に呼び寄せ護衛にする。


何か、突破口は…。そう考えたヴェロッキアは、一人の少女に目を留める
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