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ファフナー
4部分:第四章
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第四章

「だからあまり言いたくはないがな」
「そうしたところがあるのは事実だな」
「その通りだ。そしてだ」
「そしてか」
「確かに御前は神々でもニーベルングでも倒せない」
「なら誰が俺を倒せる」
 彼は確信していた。今の竜である彼は誰にも倒されないとだ。
「兄貴もいない。ならばだ」
「だからか。その指輪はか」
「手放さない。俺には呪いも効かない」
「だといいがな。だがだ」
「そのヴォータンの血を引く人間がか」
「御前を倒すことになる。呪いの運命は絶対だ。そして」 
 さらにだ。ローゲはファフナーにこうも言った。
「この世に誰にも倒されない者はいない」
「俺でもか」
「そうだ。例え神々でもだ」
 彼はこのこともわかっていた。神々がその滅びの時に近付いていることも。そしてヴォータンがそのことに怯えながらも待っていることもだ。
 彼はわかっていた。だからこそファフナーに忠告しているのだ。
「無論ニーベルングもだ」
「この世の何もかもが滅ぶというのか」
「後に残るのは人間だけだ」
「得意の嘘か?」
 ローゲの策略は誰もが知るところだった。他ならぬファフナーもそのことは知っていた。何しろヴァルハラを築く時にそれを直接見てきたからだ。
 だからだ。彼はここでこう言ったのだ。しかしだった。
 ローゲは神妙な様子になってだ。彼に返したのだった。その言葉は。
「私は今は嘘は言わない」
「では今までの言葉は嘘だったのだな」
「しかし今は嘘は言わない」
 今限定だがだ。それでもだというのだ。
「絶対にだ」
「では今は貴様を信じろというのか」
「信じる信じないは御前の好きにしろ。しかしだ」
「嘘は言わないというのだな」
「今はな。絶対にな」 
 それは確かだというのだ。
「このローゲの司る炎に誓ってもいい」
「信じないが聞いてやろう」
 ファフナーなりに譲歩してだ。彼はローゲに返した。
「では貴様はか」
「言うぞ、残るのは人間だけだ」
「俺も死ぬというのか」
「巨人族も滅びる」 
 神々やや小人達と共にだ。彼等もだというのだ。
「もっとも御前達のその数はもうかなり少なくなっているがな」
「だが俺はここにいる」
 竜である彼はだ。この場にだというのだ。
「こうしてここにいる。そしてだ」
「竜ならばか」
「誰も倒せない」
 それはだ。決してだというのだ。
「その証拠にヴォータンもアルベリヒも来ないな」
「しかし人間は来るぞ」
「俺を倒すのはちっぽけな人間か」
「人間はちっぽけか」
「神々や小人と比べてどうだ。使う武器は弱く魔術も使えない」
「そして特別な技術もないな」
「その人間達がどうして俺を倒せる」
 絶大な、神々の主ですら適わぬ竜になっている自分をだ。どうし
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