3部分:第三章
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第三章
「あの指輪はです」
「絶対に手を入れてはならないというのか」
「あの指輪はラインの乙女達の手に戻すべきです」
「アルベリヒが手に入れるのではないのか?」
「あの男も本来の持ち主ではありません。指輪を手に入れることはできません」
指輪に呪いをかけた彼にしてもだ。それは無理だというのだ。
「だからです」
「あの指輪には手を出すなというのか」
「はい」
まさにだ。その通りだというのだ。
「おかしなことは考えぬ方がいいです」
「ではあの巨人もか」
「滅びます。ですが彼には忠告しておきましょう」
ローゲは純粋な神ではない。元々は炎の精霊でありヴォータンとの契約により神となっているのだ。その特殊な、完全に神ではない立場からだ。巨人を心配したのだ。
それ故にだった。彼はこうも言ったのである。
「指輪を戻す様に行っておきましょう」
「不要だと思うがな」
「いや、そうはいきません」
こう言ってだ。ローゲはファフナーに対しても手を打つことにしたのだった。
ファフナーは深い森の中に入りその奥深くの洞窟に篭もった。その中でだ。
巨大な竜の姿になり神々から手に入れた富と、そして何よりも指輪の上に蹲りそれを護っていた。その彼のいる洞窟の入り口にだ。ローゲは来た。
彼は今は小鳥の姿だ。その姿で入り口からだ。ファフナーに囁いた。
「ファフナー、いるな」
「その言葉は火の神ローゲか」
「そうだ、私だ」
ローゲは自分からそうだと答えた。
「私がここに来た理由はわかるな」
「忠告か」
「黄金や財宝はいい」
それはだ。構わないというのだ。
「だが。それでもだ」
「指輪は手放せというのか」
「そうだ。その指輪には呪いがかかっている」
「それはもう聞いた」
「そうか。なら話は早い」
ローゲは小鳥の姿で洞窟の入り口の傍にいてそこから洞窟の中を覗き込んでいる。そのうえで竜になっているファフナー、洞窟の奥に蹲る彼に言ったのだ。
「その指輪は手放せ」
「そうせよというのか」
「そうだ。さもないと破滅するのは御前だぞ」
ローゲは忠告した。
「それでもいいのか」
「破滅か」
「そうだ。既にヴォータンは手を打った」
「あの嵐の神がか」
「人間との間に子供を作った。その双子の兄妹から一人の男が生まれだ」
「俺の前に来るというのか」
「御前はその人間の男に殺され指輪も何もかも奪われるぞ」
ローゲは未来がわかっていた。ファフナーのその未来がだ。
だからこそだ。彼はファフナーに対して忠告しているのだ。それも強く。
だがそれでもだった。洞窟の奥の彼はその紅い目を爛々と輝かせていた。洞窟の闇の中にそれだけが見える。そしてその目で小鳥とローゲを見ながらだ。
そのうえでだ。こう答え
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