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少年は魔人になるようです
第99話 少年は英雄《馬鹿》に近づくようです
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ど、身体に似合わない身軽さでクルリと回り着地され、

距離が開いたその僅かな時間で更に気が練られ、先程より気配が鋭くなるけれど、予見していた

僕も『雷の暴風』を遅延、足元に魔法陣を仕込む。


「誰に似て足癖悪くなりやがったぁ!『ラカン・インパクト』ォォ!!」
ギュゴッ!
「バレましたか!『大雷崩拳』!!」
バリィィッ!

魔法陣の追加を防ぐ為か、そこそこ本気の気弾が飛んで来る。

そこそこと言っても僕とは桁違いのパワーの気弾。遅延させたばかりの『雷の暴風』を拳に

纏わせて迎撃すると炸裂し、煙が立ち込める。

ラカンさんが突っ込んで来ると踏みその中を突っ切らず、大きく後方に跳ぶ。闘技場に張られた

障壁を地面代わりにし、『千の雷』を装填して雷速瞬動で斜めに突撃する。

ボッ!
「ぬっ!?」
ボボボボボボボボボボボボボボボボッ!!!
『おおっとナギ選手!これは目にも止まらぬ高速移動!あまりの速さに雷がはしるぅー!』


ラカンさんの攻撃を上手く躱せたのを確認し、今度は『千の雷』を身に纏いながら

半円状に高速で移動し続ける。只の放電現象に使っているから攻撃力は皆無に等しいけれど、

先行放電(ストリーマー)を隠せる上に、他の現象をも生み出せる!

バチィッ!
「っとぉ!?おいおいおい、なんだこりゃ?」

『ナギ選手の出した雷が集まって、黒い雲がラカン選手を取り囲んでいるぅー!?

魔法なのか!?なんなんだこれはぁー!?』


放電した雷を全て『固定』して行く。急速に空気中の水分を蒸発させ雲を発生させて、

それを更に『固定』、僅か十秒で闇の様に真っ黒な雷雲を作り出す。

いつか愁磨さんが使った技の一つを、局地的にだけど再現した―――!

ズズッ――
「『小・雷迎』!!」
バリッ! バリバリッ!!
「ぐぅぉおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」

『こ、これは強烈ぅー!雷雲がば、爆発したぁ!って、何なんですかこれーー!?』

 
炸裂した雷雲は強力な雷撃を周囲に奔らせながら、6億ボルトを超えるエネルギーと相当の熱が

僅か直径三メートルで弾ける。後に残ったのは、蒸発して半円に削られた闘技場の地面と・・・

所々から煙こそ出ているものの、五体満足のラカンさん。

普通なら細胞の一片の跡形も無く蒸発するんだけどなぁ・・・今更か。


「っつぅ〜〜……なかなか効くぜぇ。」

「本当に効いてるんならそれらしくして欲しいですよ!」

「いや本当にギリギリなんだけどな!!」


毎度の事の限界のフリ・・・かと思ったけれど、流石のラカンさんもさっきの戦闘で本当に、

かなり疲労していたようだ。
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