第一話
[2]次話
私こと、神木祀樹(かみきまつりぎ)はソードアート・オンライン、略してSAOの世界に閉じ込められていた。七十五層で黒の剣士、キリトがヒースクリフを倒しこのアインクラッドをクリアしたなおもだ。確かに私のウインドウにクリアされたことは表示された。
だが、周りの人々がライトエフェクトとともに消えて行くのは確認した。しかし、何故か私にはその現象が見られない。
特に現実世界に愛着があるわけでもない。むしろ、この世界の方が気に入っている。
これほど、興味深くて面白い世界はない。この世界、アインクラッドには現実にはない残酷さがある。
それがたまらなく、――好みだ。
だが、アインクラッドは崩壊した。そう、崩壊したはずなのだ。なのに、今もなお再構築され現存している。
しかも、前以上の規模で。
百層なんてレベルじゃない。もっと上。再構築されたアインクラッドは千層まであるのだ。
――そして、現在は三百層である。全てが森林で埋め尽くされたいわば、森のステージであった。
「ふむ、興味深い」
私は腰を曲げ、足元に咲いていた珍妙な花を摘む。それはこの三百層に訪れて一週間は経って、初めて見た花であった。
私は現在、ハイスピードで攻略を進めている。クエストやアイテム収集などを並列で。
一週間も同じ層に滞在すれば大抵、全てのアイテムを収集できるのだが、これは珍しい。
今まで取ったアイテムは全て、頭にはいっているがこの花は見た覚えがない。つまり、この層で新たに見つかる新種ということだ。
がさがさ
私が新種を観察していると、近くの林から草が揺れる音がする。
私は腰に差してある短剣を手に取り、新種をイベントリに入れた。
林から顔を出したのはニードルラビット。全身の毛が針ネズミのように鋭く硬いモンスターだ。
主な攻撃は針を用いた突撃である。
一見、弱そうに見えるが三百層とまで上がるとレベルがはねあがり、一筋縄ではいかない。
そして、私はソロプレイヤーだ。回復が難しく、ダメージを受けるわけにもいかないため、短剣という素早く攻撃できる武器を使っている。素早い分、ダメージも小さいが。
ニードルラビットは何時ものように針を逆立たせ、私に向かって直進してくる。スキルのおかげでかなり速いのだが動きはしっかりと見える。
短剣の平を横凪ぎでニードルラビットにぶつける。ニードルラビットは吹っ飛ぶが、HPのバーは一割も削れていない。
だが、ノックバックで止まっている状態なので、短剣スキル《ミーティアライン》というスキルを発動させた。
青い光とともに一直線の筋ができ、ニードルラビットはパリンと音を立て、ガラスのような欠片となり消える。
ドロップはニードルラビットの針であった。
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