第五章 〜再上洛〜
五十三 〜三軍筆頭の勇者〜
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、黄忠は矢を番える。
「関興さん、関索さん。合図と共に、あの子供を」
「……よし。では黄忠殿、お任せ致しますぞ」
そして、
「はあっ!」
気合一閃、黄忠は矢を放った。
「ぐわっ!」
倒れたのは、子供を抱き抱えている男ではなく、その背後にいた男だ。
当然、賊共の視線は、そこに集まる。
その隙に、間断なく矢は放たれる。
……見事なまでの、速射技だ。
その都度、喉や額を貫かれた賊が、バタバタと倒れた。
「今です!」
「応っ!」
こうなれば、迅速さで疾風に及ぶ者はおらぬ。
私も兼定を抜き、賊へと向かった。
賊が兵らに引っ立てられるのを横目に、私はその場を後にする。
……目立ってはならぬのに、思わず身体が動いてしまったな。
「疾風、稟。参るぞ」
「はっ!」
「御意」
此処での長居は無用。
黄忠は頻りに礼を述べる親子や、事情を聞きたい兵らに捕まっている。
我らの動きには気付いたようだが、そのまま立ち去る事にした。
「歳三様。この辺りの視察も結構ですが、手短に済ませるべきかと思います」
「私も稟に賛成です。素性が知られると、厄介です」
「……うむ。そうしよう」
黄忠とは、またいずれ再会する事になろう。
私には、そんな確信があった。
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