4部分:第四章
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変わりがない」
「母であることは」
「その方等もそうであろう」
家の者達を見回す。またしても咎める様子がそこにあった。そうして何処までも言い含めたいようであった。道長もそうしたことはわきまえているのであった。
「母から生まれ。家には子を持つ母がおるな」
「その通りでございます」
「ごもっともです」
彼等もそれに頷く。やはりそれも否定できないことであった。
「そういうことじゃ。安倍殿はそれをわきまえ衣を完成させたのじゃ」
「全ては母の心を汲んで」
「うむ。しかしこれはまた」
道長はここまで言うとまた笑顔になった。清明のことを考えてである。
「どうにもこうにもよい話じゃ。是非残さねばな」
「はい」
家の者達も主の言葉に頷いた。一時は彼の出自についてあれこれ言った彼等だがそれでも彼の情には心打たれるものがあった。ここではそれに素直に頷いたのである。
これは安倍清明の異伝の一つである。真実かどうかは不明だ。しかし彼の人柄を窺ううえでは実に興味深い話である。その為ここに紹介するものである。
清明と狐 完
2007・11・17
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