2部分:第二章
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に問うのだった。
「見たところそなたは女子のようだが。何の為に」
「我が子の為でございます」
それが狐の返答であった。
「我が子の?」
「はい、実は私には人の夫と子がおりまして」
「ふむ」
ここで清明の目の色が少し変わった。それは彼の出自に由来するものであろうか。その鋭利な目に微妙に温かいものが宿ったのである。
「左様か」
「そうなのでございます。それで」
「それはわかった」
清明もそれはわかった。
「しかしだ」
「はい。何か」
「何故ここで織るのか」
彼はまたそれを聞いた。
「何も家で織ってもよかろう、それでは」
「それがそれでは駄目なのです」
「何故だ?それは」
「それは今織っている衣が特別なものだからなのです」
狐は目を伏せて頭を垂れてそう述べた。
「私も本当は人を驚かせるつもりはないのですか」
「それは火のせいか」
「その通りです」
狐は糸の側でゆらゆらと燃えている火を見ながら答える。それは赤く燃えている。青白く燃えると言われている普通の狐火とは少し違っていた。
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