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至誠一貫
第一部
第四章 〜魏郡太守篇〜
五十一 〜城下での出会い〜
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、そう言ったな」
「は、はい」
「ならば、私に同道せぬか? 洛陽に向かうのだ、さすれば許チョとも会えるのではないか?」
「え? で、ですがそれではご迷惑がかかります」
 典韋は、慌てて手を振った。
「構わぬさ」
「ですが、それでは申し訳なさ過ぎます」
 一人二人増えたところで問題はないのだが、典韋は律儀に辞退しようとする。
「ならば、料理番として、我が軍に同行してくれぬか? 無論、手当は出す」
「え?」
「見たところ、料理の心得も人並み以上のようだ。ならば、私もお前も、両者共に損はないと思うが」
「……宜しいのでしょうか?」
「構わぬさ。愛紗も、異存はなかろう?」
「はい。気立ても良く、人物もしっかりしているようですし」
「…………」
 典韋は赤くなり、俯いた。
「無論、無理強いはせぬぞ。お前がここで働きたいのであれば、好きにするが良い」
「……いえ。やっぱり、季衣にも会いたいですから。ご厚意、有り難く承ります」
「うむ。ならば、店じまいの後で城に参れ。兵らには申し送っておく」
「はい、ありがとうございます!」
 さて、後はあの二人だが。
「いい加減に降参するのだ」
「へへーん、お前こそ諦めな? あたいはまだまだ余裕だぜ?」
「……愛紗。ひとまず城に戻るぞ」
「……はっ。確かに、待つだけ無駄でしょうな」
 袁紹との約束の刻限も近い、あまり長居も出来ぬ。


 ちなみに鈴々と文醜の勝負は、日暮れを以て引き分けとなったようだ。
「店の食材を食べ尽くしたそうです。あの店の主人が、真っ白になっていたとか」
 愛紗が、呆れ果てた顔でそう、報告してきた。
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