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至誠一貫
第一部
第四章 〜魏郡太守篇〜
五十一 〜城下での出会い〜
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の鮑鴻殿が抜けているようですが」
「……そうなのだ、稟。鮑鴻は、雍州で起きた反乱の鎮圧に向かったらしいのだが、激戦の中、討ち取られた、との知らせが来ている」
「なんと。早くも欠員が出てしまうとは……幸先の悪い」
「ああ。袁紹殿も危うくそうなりかかった事もあるが、不吉な事は確かだな」
 彩も愛紗も、表情を曇らせる。
「とは言え、既に着任した者もいる以上、私が此処に留まる事は赦されぬ。袁紹殿共々、早々に出立せねばなるまい」
「……主。やはり、袁紹殿を伴うおつもりですか?」
「うむ。急を要したとは申せ、手を貸した事もある。それに、この地より同じ目的で洛陽に向かうのに、別々に行動する方が不自然でもある」
「でも、袁紹はお兄ちゃんを一度は襲おうとしたのだ」
「ですねー。風は、そこまでする義理は、お兄さんにはないと思うのですよ」
 他の者らも、同感とばかりに頷いている。
 確かに、無条件で水に流すのでは、皆は納得せぬであろう。
 今の袁紹に、過去の遺恨を持ち出すのは憚られる気もするが……けじめは必要か。
「ならば、袁紹の意向を確かめておこう。その上で、結論を出すとする。それで良いな?」
「御意!」
「元皓、嵐、彩、それに愛里。後を、くれぐれも頼むぞ?」
「はい。まだ、正直不安ですけど……やれるだけ、やってみます」
「大丈夫だって、おいらもついているし。旦那、任せておいてよ」
「殿が戻られるまでの間、この魏郡を賊どもには指一本触れさせませぬ。ご安心めされい」
「……あの。朱里ちゃんは、どうなるのでしょう?」
 愛里は、隣に立つ朱里を見た。
 やはり、気がかりなのであろう。
「その件だが……朱里」
「は、はいっ!」
「不本意やも知れぬが、お前もギョウに残れ。愛里と共に、政務を任せる」
「……わかりました」
 肩を落とす朱里。
「お前に、軍師としての才がある事は私も星も、認めるところだ。だが、お前には実務経験が不足している。愛里の元で、それを学ぶ方がお前の為でもあるのだ」
「…………」
 黙っている朱里の前に、稟と風が向かった。
「歳三様の軍師を自負する私としては、確かにあなたの加入は複雑なものがあります。……ただ、ますます人材が必要になる事も、わかっているつもりです」
「ですから、まずは実績を作って下さいねー。風は、お兄さんが決めた事に反対するつもりもありませんし。あ、でも、お兄さんを取るようなら容赦はしませんよ?」
「稟さん、風さん……。わかりました、私、頑張ってみます」
 漸く、朱里が笑顔を見せた。


 軍議の後。
 皆を下がらせ、顔良を謁見の間に入れた。
 愛紗や鈴々らは同席すると言って聞かなかったが、得物を預かる事を条件に、どうにか宥めた。
「待たせたな」
「いえ、お忙しいところ申し訳
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