暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜神話と勇者と聖剣と〜
エピローグ:神話と勇者と聖剣と
神話と勇者と聖剣と
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
のだ。

 そう、もう何年も前に打ち壊された公園の跡地。その平野を、天宮兄妹と鈴ヶ原の《自在師》達が改装して作り上げた、一日限りの結婚式場。外界から隔離された、この場所。

 その計画を陰斗から聞いた二年前から、ずっとそれを実行すると決めていた。


 ここは、自分と琥珀が、最初に出会った場所だったのだから。

 隣に立つ彼女は、初めて出会った時よりもずっと大人だ。金色掛かった、美しいその髪も少し伸びた。

 彼女にふさわしい男に成れただろうか、と、時折不安に思う。けどきっと、上手くいくのだ。

 そしていつか、彼女にまた、こう言ってやろう。

 ――――上手くいったから、それでいいじゃないか。

 と。


「新郎新婦、汝らに、誓いの文言を問う」

 陰斗が、問う。お前たちに、覚悟はあるのか、と。

「新婦。汝、己が夫を信じる願いとなるか。己が夫を包み込む透明な癒しとなるか。己が夫に勇気を与える者となるか。己が夫を導く星となるか。己が夫を永劫に待つ者となるか。己が夫を讃える者となるか。己が夫を、永劫己が夫と誓うか。
 そして――――時には、己が夫と肩を並べて戦う姫君となりうるか。以上の全てを、誓うか?」

 完全に我流なのだろう。聞いたこともない誓いの言葉ではあったが。

「誓います」

 琥珀は、そんなこと気にしないわ、と言わんばかりに、答えた。

 陰斗は満足げな表情を見せると、今度は清文を見た。

「新郎。汝、己が妻と過ごす時を許容できるか。己が妻を涙から救いだす輝きとなるか。己が妻に希望を与える者となるか。己が妻を守る力をもつか。己が妻を迎えに行く約束を果たせるか。己が妻を慈しむ者となるか。己が妻を、たとえ世界が変わっても愛せるか。
 そして――――時には、己が妻をその身を掛けて守る勇者となりうるか。以上の全てを、誓え、我が友よ」

 ――――命令形かよ。

 内心で苦笑しながらも、でも清文も答えるのだ。

「誓うよ。俺が琥珀を守る。約束だ、親友(シャノン)

 ――――いいだろう。

 友の口が、そう動いた気がした。しかしそれを音に出すことはなく、彼は次の段階へと式を進行する。

「では――――契りを果たすべく。新郎よ、汝が妻に口づけを」

 その言葉に頷いて、清文は隣に体ごと向き直る。琥珀も、同様に。

 彼女のベールを上げて、その顔を見つめる。ああ、なんと美しいのか。何と言うか、今なら彼女が女神だと言われてもたぶん信じられる。時々性格が苛烈で、素直じゃなくて、怒ると暴力振るって来たりする女神だけれど。

 だけど――――
 
琥珀(コハク)。君のことを愛している――――結婚しよう」
「――――はい、私の勇者様(セモン)
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ