第二章
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「どういった者かだな」
「とにかく強いとのことですね」
「あらゆる武芸でな」
「無敗だとか」
「そしてこう言っているそうだな」
今度はジュリオからレオに言った。部屋の中は二つ簡素なベッドがあり二人で一つずつベッドを使うことにしている。
「自身が敗れた時にな」
「その仮面を脱ぐと」
「面白いことだ」
ジュリオはここで楽しげに言った。
「それならばな」
「ジュリオ様がですね」
「勝ちだ」
そして、というのだ。
「そしてだ」
「仮面を脱がせてですね」
「その素顔を見てやろう」
「あの騎士は果たして何者でしょうか」
「それが知りたい」
ジュリオにしてもというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「私は勝つ」
必ず、とだ。ジュリオはレオに確かな自信に満ちた笑みで答えた。言いながらマントを壁にかけてベッドに腰掛けてだ。
レオが差し出した水を礼を言いつつ受け取り一口飲んでからだ、こうも言った。
「私の剣にはだ」
「誰もですね」
「勝てはしないからな」
「旦那様は馬と学問もお得意ですが」
「あの騎士の学問のことは知らない」
だからそれはというのだ。
「別に学問は挑むものでもないからな」
「ご自身で蓄えられるものですね」
「勝負するものではない」
「そうしたものだからですね」
「私は学問では誰にも挑まない」
こうレオに答えるのだった。
「そしてだ」
「はい、馬はですね」
「あの騎士の馬術を聞くとだ」
そのうえで考えたことはというと。
「私の馬術でもな」
「敵わないというのですね」
「とてもな、だが剣はだ」
それはというと。
「私は誰にも敗れない」
「まさに誰にもでしたね」
「そうだ、これまで誰にも負けたことはない」
常に勝って来たというのだ。
「だからだ」
「あの騎士にも」
「剣なら勝てる」
こう判断してのことだというのだ。
「だからだ、これで勝負を挑む」
「では」
「領地からここまで長旅だった」
馬で来た、その馬での旅が長かったからだというのだ。
「今日はゆっくりと休もう」
「はい、そうしましょう」
「ただ、夜はだ」
その時はというと。
「飲みに行くか」
「こちらのビールは絶品だとか」
「そうだ、そのビールを飲みに行くぞ」
ジュリオは今度は楽しげに笑ってだった、レオにこう言った。
「いいな」
「はい、ただ」
「飲み過ぎるなというのだな」
「旦那様は少しお酒が過ぎますので」
ジュリオのその悪い癖をだ、従者として注意したのだ。
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