第三章
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「そのシリーズ好きだよ」
「君もだね」
「そこに素晴らしさがあるから」
「共感出来てね」
「応援したくなるんだ」
「今のテレビの方もね」
三木谷はこちらも話に出した。
「観ていて面白いね」
「この作品はアニメにもなったけれど」
堀江は今も手にしている漫画に目にやりつつ三木谷に言った。
「声優さんは豪華だったよ」
「それでもだね」
「僕がファンの声優さんも出ていたけれど」
それでもだったというのだ。
「もうね」
「観たのかな」
「観ていないよ」
全く、というのだった。
「最初から観ようと思わなかったよ」
「そうだったんだ」
「そして観なかったんだ」
「それじゃあヒーローの方は」
「そっちは観ているよ」
今もというのだ。
「ちゃんとね」
「それも毎週欠かさず」
「そう、観ているから」
だからだというのだ。
「毎週楽しみだよ」
「全部キャラクタ−のせいかな」
「キャラクターに魅力がないとね」
「全く面白くないね」
これが二人が出した結論だった、そして。
ここでだ、堀江はその手にしている漫画を閉じて机の端の方に置いてだ、三木谷に対してこう言ったのだった。
「三木谷氏、君の読んでる漫画をね」
「うん、僕が読んだ後で」
「読ませてくれるかな」
「いいよ」
三木谷は堀江の願いに笑顔で答えた。
「じゃあすぐに読むから」
「うん、お願いするよ」
「やっぱり面白いよ」
「そうだよね、そのシリーズはね」
「漫画の方もね」
「主人公達に凄い魅力があるから」
それで、というのだ。
「面白いんだよ」
「その通りだね、書き手の資質も大きく出るね」
「そうそう、キャラクターは」
その性格等がというのだ。
「本当に出るよ」
「その原作者は世の中知らないのか思想に歪みがあるのか」
「どっちかか両方だね」
「それがキャラクターに出てね」
「そうした作品になったんだね」
まさに何の魅力もない、だ。
「大企業の娘でキャリアで美人で頭脳明晰、戦っても強い」
「そうしたあからさまな権力者でね」
「権力を濫用しているのに反権力なことばかり言う」
「何処がいいんだろうね、こんなキャラ」
「それに対して彼等は」
三木谷が読んでいるその漫画の主人公達はというと。
「人間として。苦しみも悲しみも押し殺して」
「命を賭けて。力を自覚して人の為に戦っている」
「もう全然違うよ」
「同じ主人公でも月とスッポンだね」
「ははは、それを言ったらすっぽんに失礼だよ」
こう言って否定されもした、そのエリート主人公の方は。
「すっぽんは歯向かったとはいえ自分より弱い相手をいたぶらないよ」
「あっ、そうだね」
「それに食べても美味しいよ」
「こっちは煮ても焼いて
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