第四章
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「あそこよね、誰かいない?」
「いないだろ」
道夫も優子の言葉にぎょっとなって返した。
「何も見えないぞ」
「ならいいけれどな」
「けれどな」
それでもと言う道夫だった。
「七不思議は本当のことでな」
「旧校舎二階の女子トイレの奥から二番目も入るとノックしてきて出ると誰もいないとかいうし」
「それ全部本当だからな」
「これで全部ね」
「ああ、七つだろ」
まさにこれで全てだった。
「うちの学校の七不思議なんだよ」
「じゃあ学校から何か出て来ても」
「おかしくないからな」
「出て来たらどうしよう」
本気で心配している言葉だった。
「そうなったら」
「だから急ぐぞ」
兄は妹に必死の声で言った。
「溝からも出て来るからな」
「そのお化けが」
「後ろにも注意しろよ」
道夫はそちらにも警戒の念を向けていた。
「いいな」
「後ろにも何か出るの?」
「何か女の人とすれ違ったらな」
その何もいない路を歩きつつの言葉だ。
「それで振り向いたら襲って来る妖怪がいるらしいんだよ」
「その女の人が来てなの」
「そうだよ、だからな」
それで、というのだ。
「若しだぞ」
「ここで女の人とすれ違っても」
「振り向くなよ、あと後ろだけれどな」
話がここで戻った。
「犬がついて来たらそれも妖怪だ」
「犬の妖怪ね」
「こけたら襲って来るんだよ」
「何か妖怪って多いのね」
「多いんだよ、だからな」
それ故にとも言う道夫だった。
「気をつけて行くぞ」
「うん、ゴールまでね」
こう話してだ、そしてだった。
二人でひらすらゴールまで続いていった、そしてやがてだった。
小学校のところを越えた、そこで。
優子は後ろをちらりと見た、すると。
何もいなかった、それで道夫にほっとした声で言った。
「何もいないわ」
「そうか」
「犬もね」
「それは何よりだな」
道夫も優子の言葉にほっとした声になっていた。
「じゃあこのままな」
「ゴールまでね」
「溝もないからな」
今二人が進んでいる路にはだ。
「丁渡いいな」
「そうね、じゃあこのままね」
「行くぞ」
「うん」
二人で必死に言い合いそしてさらに先を進んだ、だがここで。
二人は前から来た女の人、通勤帰りと思われるその人とすれ違った。優子はその人とすれ違った直後にだった。
暗がりなのでわからないが青ざめた顔でだ、道夫に言った。
「あの、今の人って」
「絶対に振り向くなよ」
道夫も青ざめた顔で返した、やはり暗がりなのでわからないが。
「いいな」
「若し振り向いたら」
「来るぞ」
その妖怪が、というのだ。
「だからな」
「振り向いたら駄目なのね」
「何があってもな」
「それじゃあ
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