第二章
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「じゃあ今からね」
「はい、肝試しをですね」
「はじめるんですね」
「二人一組になってね」
青年は優子達にさらに言った。
「それでこのスタートからね」
「ゴールまで、ですね」
「そこまでですね」
「うん、ゴールは公園の入り口だよ」
小学校の向こうにあるそこだというのだ。
「小学校のところを通ってね」
「そしてですか」
「ゴールは公園の入り口ですか」
「あそこですか」
「そう、わかったね」
青年は優子達に微笑んで言った。
「じゃあ二人一組になってね」
「どうして一人じゃないんですか?」
その訳をだ、道夫が右手を挙げて尋ねた。
「それは」
「一人だと危ないからだよ」
「だからですか」
「うん、最近何かと物騒な話が多くて」
「一人だとですか」
「あの路でも万が一があったらいけないから」
それで、というのだ。
「二人だと一人よりずっと安心だからね」
「そういうことですか」
「そうだね、丁渡男の子と女の子が同じ数だし」
青年は子供達を見回してこうも言った。
「男女のカップルにしようか」
「その方が安全だからですか」
「男の子は女の子を守るんだよ」
青年はこのことは強く言った。
「いいね」
「わかりました」
道夫が答えた、こうしてだった。
子供達は男女一組になり順番を決めてからそれぞれスタートの地点からゴールまで向かった、そして優子の番になった。その彼女のパートナーはというと。
「お兄ちゃんなのね」
「そうなるなんてな」
道夫は苦い顔になっている優子に同じく苦い顔で返した。
「何でこうなるんだよ」
「折角アイス賭けてたのに」
「おい、途中で逃げるなよ」
「お兄ちゃんこそね」
お互いに言い合うのだった。
「若し逃げたらね」
「アイスだからな」
「そっちこそね」
こう言い合ってだ、そのうえでだった。
二人はスタートした、青年がゴール地点にいる自分と同じ係員から携帯で連絡を受けてそれから二人を行かせた。そうしてだった。
二人は肝試しをはじめた、すると。
すぐにだ、道夫が優子に横から言って来た。
「おい、いいか?」
「いいかって?」
「絶対にだぞ」
優子の顔を見て強い声で言って来た言葉だった。
「俺から離れるなよ」
「何でそう言うのよ」
「だってここはな」
暗がりなので顔は見えないが声は強張っていた、それがわかった。
「出るからな」
「それお兄ちゃんが言ったことよね」
「横からな」
「横から?」
「そうだよ、全身真っ黒で物凄く大きな化けものが出て来てな」
そして、というのだ。
「通りがかった子供を捕まえてな」
「食べるの?」
「そうするんだよ」
「それ本当の話?」
「ああ、三年前ここを通った子供が
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