番外23話『急転直下』
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ントの中にそれに対する答えが浮かんだのか、恥ずかしそうに口を開いた。
「ナミの……こ、恋人かな」
いや、だからそういうこと聞いてるんじゃねぇよ。
そう突っ込んでくれる仲間は、残念ながらここにはいない。
もちろんハントは本気で答えているのだが、エネルからすればそれを真剣な答えだと思えるわけもなく「私は神だぞ!」と苛立ちも露わに、手に持っていた黄金の棒でハントへと襲い掛かる。
雷を当てることが出来ないのならば肉弾戦で直接……ということだろうか。
「!」
膝を軽く沈ませて腕をだらりとさせていただけのハントがここにきて初めて魚人空手の構えをとった。
雷となって一瞬でハントの正面へと間合いを詰めてきたエネルに対して、ハントの牽制の拳が真っ直ぐに振るわれる。牽制とはいえ、先ほどまでの膝を落としただけの状態から放たれた拳ではない。腰を落とし、空手家として放たれた一撃だ。
その一撃に乗っている拳の重みと速さは先ほどまでの比ではない。
とはいえ、所詮は人間の拳。エネルも自分が移動した場所にハントの拳が飛んでくることは予想していたらしい。ハントの真正面に現れたかと思えばそこに留まることなく流れるように今度はハントの背後へと雷となって移動していた。
ハントの拳が空を切り、それと同時にエネルがハントの背後から黄金の棒を振るう。
「人肌掌底」
振り向くとほぼ同時、頭部へと振り下ろされた一撃を見切り、左手の掌底でその一撃を受け流す。
「む」
「魚人空手陸式5千枚瓦正拳!」
振り下ろされた棒が空を切り、大地へと突き刺さる。あまりにも自然に狙いをずらされたことでエネルの体が僅かに流れた。エネルが驚きの表情を浮かべるが、その一瞬の隙をハントは逃さない。ハントが右腕の正拳技を放つ。
ほんの僅かな間。
それはハントからすればあまりにも決定的で、確実にこの一撃が入るというタイミング――
――だが。
「くそ」
当たらない。
拳がふれる直前に、無挙動で雷となって移動したエネルの速度に及ばずに拳は空を切る結果となった。
ハントとエネルの見聞色ではハントの見聞色の力の方が勝っている。
見聞色の先読みの力はぶつかり合った時、打ち消しあう性質をしているためエネルではハントの行動を先読み出来ず、逆にハントはエネルの行動を先読みして動くことが出来ており、今のような状況となっているわけだが、流石に雷となって移動できるエネルの動きは早い。
いくらハントでもエネルに完全に逃げに回られたら先読みがあってもその体を捉えることは出来ない。
エネルの雷ならではの圧倒的速度と圧倒的攻撃力。今のところはハントがうまく立ち回っている感があるが、エネルの能力は決して楽観できるものではな
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