番外23話『急転直下』
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うかとすら思えるようなハントの答えを受けたエネルはゆっくりと立ち上がって、無言で血をぬぐう。その表情は先ほどまでの余裕が張り付けられたそれでは既になく、無色のそれ。
「神の裁き」
無言で、唐突に。
だが膨大な光をもって生まれた雷が確かにハントへと放たれていた。
エネルの攻撃はまごうことなき雷速。決して人間では対処の出来ない速度のソレだ。しかも雷というだけあってその攻撃力は絶大。ハントの武装色の鎧をまるで紙屑のように切り裂いてしまうほどの威力。
一度放たれれば回避不能で、防御も不能。
それはもちろんエネルとて理解している。それだけの力があると、神たる彼が誰よりも己の力を理解しているからだ。
なのに。
「……な」
エネルの目が見開かれる。
そこにハントがまだ存在していたからだ。
「あっぶな! ……クロコダイルの時もだったけど、ホントに自然系って戦うこと自体厄介だよな」
――っていうかそもそも攻撃力が卑怯だよな。
ぶちぶちと、ハントが寸前までいた位置、神の裁きが通り過ぎて真っ黒こげになっている位置を眺めながら呟く。
「避けたのか? ならば――」
ほぼ一瞬で動き、そして次の瞬間には「1000万Vヴァー――」
一度失敗した直接相手の体に触れて雷を流すという行為。先ほどはあくまでも神の威光を知らしめるためにあえて余裕をもって、どこかゆったりと動いていたが、今度のそれはもはやそういった類の動きではない。
反応はもちろん、今この瞬間に攻撃されることの知覚すら不可能。
それは誇張でもなく、事実で、そのはず――
「――っ!」
「り゛ん゛!?」
――なのに。
やはり、通じない。
エネルが現れた場所に、既にハントが足を振り上げていた。地面からの最短距離を走りエネルの腹部をハントの足が突き出す。声を出していたところに腹部への蹴りをもらったとあって奇妙な声をあげながら吹き飛ばされるエネルへと、ハントは追撃の行動に移っていた。
地面と平行に吹き飛ばされている最中のエネルへと追いつき「魚人空手陸式――」今度はハントが技を撃とうとして、だが接近されたというハントの動きにはエネルも気づいた。ハントが自身を殴れるという事実がある以上、エネルからすれば近づかれるわけにはいかない。そのため、距離をとろうと雷になって移動しようとする。
だが。
「――なに!?」
雷の一部、正確にはエネルの足をハントが掴んでいたことによってそれが失敗。
「させるかっ!」
そのまま地面へとエネルを叩き付けた。
その行為自体はもちろんエネルには通じないが、エネルの体が地面にぶつかってはじけるということになる以上、元通りの姿へと戻るた
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