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ものがあっても
第八章
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「今度は失態を犯さずに」
「そのうえで、ですか」
「勝ちたいです」
 言い切った、ここでも。
「何があろうとも」
「そうなのですか」
「あの時は私の失態、今度は失態を犯さずに」
 そのうえでというのだ。
「正々堂々と勝ちます」
「アンジェリーナ様にご武運を」
 正確に言うと武運ではないがあえてこう言ったモモカだった、そしてアンジェリーゼはこの日からサラをライバルとしてあらゆることに励んだ。サラもまた文武両道であるからこそ。
 そしてやたらとサラの話をした、シルヴィアはその姉に対して共にテニスを楽しんだ後で尋ねた。サラもテニスをしているのでそれでアンジェリーナも励んでいるのだ。
「お姉様ひょっとしてサラ殿のことを」
「あの方についてですか」
 二人共テニスウェア姿でモモカが差し出したジュースを飲みやはりモモカが差し出したタオルで汗を拭いている。その中でのやり取りだ。
「はい、以前恋愛についてお話されていましたが」
「私があの方にですか」
「そうした感情を抱いておられますか?」
「いえ、それがです」
 アンジュリーナは妹のその問いにこう答えた。
「違う様です」
「と、いいますと」
「恋愛は相手の方を想うと心がどうしようもなく焦がれてそしてもどかしい気持ちになるとのことですが」
「違うのですね」
「あの方を思うと」
 どうなるかとだ、アンジュリーナはシルヴィアに答えた。
「心が熱く燃え上がり負けてはならないと考えてしまうのです」
「つまりそれは」
「恋愛ではないですね」
「ライバルですね」
 こう自分で言うのだった。
「どちらかといいますと」
「ライバルですか」
「はい、あの方にはです」
「絶対に負けたくはないのですね」
「勝ちたいです」
 はっきりと言い切った言葉だった。
「何としても」
「それが、ですね」
「私のあの方への気持ちです」
 紛れもなくそれだというのだ。
「私はあの方にあらゆることで正々堂々と勝負を挑み」
「そして、ですね」
「勝ちたいのです」
「そう思っています」
「そうなのですか」
「そして私はです」
 モモカからジュースをおかわりしつつだ、アンジュリーナはシルヴィアにさらに話した。ブロンドの髪が日の光に輝いえいる。
「今とても充実していますが」
「もうもの足りなくないのですね」
「はい、全く」
「つまり恋愛の相手ではなく」
「ライバルがいますので」
 他ならぬサラがというのだ。
「ですから」
「満足されていますか」
「そうです、これからもです」
 サラをライバルとして、というのだ。
「励んでいきます」
「充実感を感じてですね」
「その通りです」
「アンジュリーナ様、お励み下さい」
 モモカはそのアンジュリーナに笑顔でエー
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