第五章
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「女性は」
「同性愛ですか」
「そちらは」
「私はあまり」
シルヴィアは自分より何歳か年上の姉のその言葉にこう返した。
「そちらの方は」
「興味がありませんか」
「そうしたお話も聞きますけれど」
「同性愛は」
「あまり興味がないです」
「そうなのですね」
「はい」
こう姉に答えるのだった。
「普通に殿方とだけ幸せになれれば」
「ではどういった殿方が好きですか?」
「はい、この前観た歌劇の様な」
「あの白銀の騎士の様なですね」
「ああした凛々しい格好いい方がいいですね」
ヒロインの窮地を救う為に颯爽と現れるまさに物語の中の騎士の様な若者がシルヴィアの好みであるのだ。
「私は」
「聖杯を探す様な」
「強くて正しくて」
「そうですか、確かに」
「ああした騎士様は女性の憧れですよね」
「私もそう思います」
その歌劇はアンジェリーゼも観ていた、家族で観たのだ。それでその騎士のことは話せた。
「あの騎士殿は立派で」
「まさに女性の憧れですね」
「騎士ですか」
「私もああした方と巡り会いたいですね」
シルヴィアはにこにことしてこうも言った。
「この前に観た吟遊詩人でもある騎士もよかったですが」
「女神の泉にいた」
「そうです、騎士様が一番ですね」
「騎士ですね」
「ああした方には憧れます」
憧れイコール恋愛だというのがシルヴィアの考えだった。
「そう思いますが」
「わかりました」
アンジェリーゼはモモカが淹れてくれた最高級の紅茶を飲みつつ話した。
「では」
「それではですか」
「少し考えます」
「では」
こうしたことを話してだ、そしてだった。
アンジェリーゼはあらためて恋愛について考えていった、その中でアンジェリーゼは馬術の大会に出た、馬術はアンジェリーゼが最も得意なスポーツだ。
上は青の上着と帽子、下は白のズボンと青のブーツの乗馬服に身を包んでだ。その格好になってだった。アンジェリーゼは愛馬である白馬を前にしてモモカに言った。
「では今日は」
「はい、今日の大会はですね」
「優勝を目指します」
「ベストをですね」
「そうしますので」
こう言うのだった。
「全力を。正々堂々とです」
「尽くされますね」
「優勝を目指しますが」
「スポーツマンシップを守らねば」
「ならないので」
このことについては厳しいアンジェリーゼだった、家柄だけでなく真の意味で気品を備えているからこその考えだ。
「万全を尽くしてきます」
「ご健闘を祈ります」
モモカはその主を笑顔で送った、そして。
アンジェリーゼは馬に乗った、そこでだった。
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