3.図書室と展望室
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ミナは、パタパタとクローゼットの前まで行き、開けると、藍色で無地のロングワンピを取り出し、可愛らしい制服から着替えた。
夜間の外出及び、授業がない人たちはこれで行動をしなければいけないという決まりがあるのだ。
何かあった時に動きやすいようにと、先生が物を頼む時にそれで判断するからなのだろう。
くるぶしぐらいまであるそれに着替えると、返さなければいけない本を持ち、彼女は外に出た。
外は何も無く、フクロウの鳴く声と自分のローファーの音。微かに聞こえてくる先生の声と靴の音だけだった。
ミナはゆっくりと廊下を進み、図書館へと向かう。
ところどころの満月の月がとてもよく綺麗に見えるガラスで立ち止まりながらも、10分ぐらいで図書館へと着いた。
「失礼します」と小さく声をかけ扉を開けると、先生らしき人たち4人が、せっせと魔法で本の整理をしていた。
本が宙を浮いて移動する姿はとても幻想的で、ミナは好きになった。
不意にミナに気付いた先生の一人がフッとほほ笑みながら近づいてきた。
彼女はそれにはっとすると、苦笑しながら手元に持っていた本を差し出した。
「…すいません。多分、声をかけて頂いたのでしょうけど」
先生も苦笑し、彼女の手から本を受け取った
「いいのよ。貴方が盗む子じゃないっていうのは分かるもの。わざわざ外出許可まで取って、ありがとう」
ミナは慌てて首を横に振り、「そんなことないです!」と告げた。
第一、ミナの予定はそれだけではないのだ。あと一つ、帰る時にやらなければいけない事がある。
彼女と先生が話していると、他の先生からの呼び出しがかかり、ミナはそこで御暇することにした。
図書館をでて、さっきと同じルートを通りながら、ミナは綺麗に月が見えるところでまた立ち止った。
もうそろそろ深夜になる頃の月は、ミナにとってより一層輝いている物に見えたのだ。
そして、ポケットに入れていたさっきの手紙を取り出し、壁に寄りかかりながらまた開く。
(…何だろう。外出許可、貰ってるのかな…)
この字は確かにあの子のだと悟ったミナは、ここまでして夜出て来たのだ。
ここで外出許可を貰っていない人と会い、話していれば罪は軽いだろうが免れないだろう。
そこまでして話したい人物ではないのだが、無視できない人物だ。
「……そろそろ時間か」
手首につけているブレスレットをみて時間を把握したミナは、さっ通った道を一歩外れ、歩き出した。
同じ階にいる生徒は10人。そのうちの卒業試験で合格した5人までが卒業できるのだ。
もうすぐ卒業試験がある手前。この階の皆はピリピリとしている。
全員敵同士。
今頃、この階の半分の人は、卒業試験に備えての魔法を勉強しているのだろう。
「…申し訳ないな」
そんな感情に浸りながら、目的の場所に着くと、足を止めた。
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