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探し求めてエデンの檻
8-3話
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私達は驚きに声をあげた。
 崖へと放り投げられた仮面の少年に至っては、()えながら真っ逆さまに落下していった。

 私は思わず崖っぷちに近づいて下を覗いた。
 呑気な事であるが、私はただの学生で人を傷つける事に慣れておらず、殺そうとしてきた相手である仮面の少年の行方を追った。
 いくらなんでもやりすぎなのではないか、そう思った、が―――。


「くそ、があぁぁぁぁぁっ―――!!!!」

 狂気と殺意がこもった雄叫(おたけ)びが響いた。
 落下していく恐怖を微塵(みじん)とも感じていないかのような恐ろしい声に、私はその姿を最期まで見る事は出来なかった。


「あ……落ち、た…」

 崖下の森に落ちていく音がする。
 葉を散らし、鬱蒼(うっそう)とした森の中に沈んでいった…死んだのだろうか、それはわからない。

 不気味だ…怖い以上に、不気味さを感じさせられた。

 あの少年は一体何者だったのか…アキラ君を…私を殺そうとする理由が皆目(かいもく)見当もつかない。
 殺されるほどの恨みを買った覚えは私自身にも、昔から見てきたアキラ君にあるとは思えない…にも関わらずあの仮面の少年は躊躇(ためら)いもなく私達を殺そうとした。
 まだ子供の範疇(はんちゅう)である学生であるはずなのに、人間ではない怪人のような気味悪さ…。

 あんな少年が…うちの学校にいただろうか?


「……」

 沈黙が続いた。
 ややあって間が持たなかったのか、吊るされたアキラ君よりも先に、ジェニアリーさんが口を開いた。

 驚くでもなく、怒るでもなく、命の危険とか絶体絶命とかそんな切羽詰(せっぱつ)まった事態をよそに、ただ飄々(ひょうひょう)と…この人だけが別の速度を生きてるかの如く、何でもないように言う。


「また会ったわね仙石アキラ―――二度目だというのに、居心地が悪そうな格好ね?」


 ちょっと…アキラくぅん?



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