8-3話
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手を出すな!!」
「……」
アキラ君が自分が危ない事になるにも関わらず怒鳴りつけるが、仮面の少年は全く意に介さなかった。
あとでどうとでも出来ると思っているのか、アキラ君の事を無視して私を殺す事を優先する。
縛られていて言葉しか出せないアキラ君では、仮面の少年を歩みを止められない。
「あ…ぁ……」
声が震える。
アキラ君の危機の時にあれだけ感じていなかった恐怖に心が冷えた。
いつの間にかあの仔リスの姿もない。
武器の有無の時点で、どちらに優位なのかは明確だった。 不意打ちと言う唯一の優位も既に消えた。
「りおん、逃げろ!!」
アキラ君はそう叫ぶ。
自分の身の危険を及ぶとわかっていての行動だけど…私は、動けない…私の足が竦んでいた。
猛獣に襲われた時は死にたくない一心で逃げ回れたのに、仮面の少年を前にして不思議と動く事が出来なかった。
石斧は確実に距離を詰めて…私を殺そうとしてくる。
「邪魔されたが……お前でもいいな。 お前を血祭りにあげてやる」
「い、や……殺さないで……」
それは明らかな殺害宣告。
不穏極まりない発言は、殺意を伴って肉薄してきた。
「冥府の王ハデスが宣言する―――」
竦み上がった私に殺そうと、仮面の少年は石斧を振り上げた。
そして―――。
「今ここで、貴様を処刑する!!」
その後ろに―――ジェニアリーさんが立っていた。
「―――そこまでよ」
誰もが、そこにいる女性の存在に驚かされた。
私も、アキラ君も、仮面の少年も、崖しかない道無き方向から現れた彼女の存在に度肝を抜かれた。
気付いた時には、ジェニアリーさんが蒼い髪を靡かせてそこにいて、私の視界内であったのにも関わらずいつそこに立っていたのかその瞬間がわからなかった。
誰もがそこで声を出す場面だった。
私は驚きながらも助けを求めるはずだった。
アキラ君は戸惑いながらも声をかけるはずだった。
仮面の少年は警戒心を剥き出しにして声を張り上げるはずだった。
「―――」
だがそれよりも早く、ジェニアリーさんの手の方が早かった。
凶器を持っている事など全く意に介さず先制する。
息をつかせない流れるような動きで手が伸ばされ、少年の後ろ襟首を掴むと―――ジェニアリーさんは躊躇いなく、彼を崖下へと放り投げた。
「きゃあ!?」
「なっ!?」
「ぬっ、おぉぉぉおおおっ!?」
ジェニアリーさんを除いて、
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