8-3話
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けられているの?
そんなモノをもった…男の子が、宙吊りになっているアキラ君に追い詰めるように近づいているの?
―――それはあまりにも緊迫した場面。
後姿でその正体が知れない学生服の少年が、石斧という凶器を持って、まるで恐怖を与えるかのようにアキラ君にジワジワと近づいてきていた。
歪ながらも鋭くさせた石斧を仰々しく斜に構え、アキラ君しか存在しない空間に向けられるその矛先。
凶器。 そう…あれは武器。 人体にそれをぶつければ、ヘタすれば死んでしまう道具。
アキラ君の表情は焦りと恐怖に引き攣り、ツタで吊るされた体を暴れさせる。
今まさに凶行が行われるその場面に、私は奇跡的にその瞬間に居合わせてしまった。
「ちょ…おいっ、やめろよ! やめろッ!!」
アキラ君が物凄く怯えた声で訴えた。
その様子から、明らかに尋常じゃない事態である事を悟り、確信した。
アキラ君が殺される…!
生まれて初めて味わう恐れに、私は動けずにいた。
助けないと…! でも、幼馴染の危機だというのに体が反応してくれない。
ダメ!、とそんな言葉すら出せず、バクバクと心臓が不規則に脈打って動揺を代弁していた。
「(駄目…ダメっ…だめっ……!!)」
止まって、と心の中で叫んでも、石斧を少年は歩みを止めない。
崖の縁にまでアキラ君に近づき、その凶器を振りかぶった。
「や…やめろおおおおぉぉぉ!?」
「だっ……!!」
絞り出すように出掛けた制止の声は遅く、凶器はアキラ君の頭へと目掛けて思いっきり振るわれた。
死ぬっ…―――!?
「うおぉぉっ!!」
石斧がアキラ君の顔を砕こうとした。
だがその一瞬、必死の雄叫びをあげたアキラ君は蹴り上げるように足を揺さぶると同時に、上半身を大きく横に倒した。
「なにぃ!?」
あれが動かない的であったのなら、それは確実に彼の命を奪っていた。
だが、ツタで拘束されたアキラ君は腕を支点に宙に浮いた体を回転するように回避し、石斧は顔があった位置を通過した。
それは石斧を持った少年にとって、予想外の回避だった。
「くっ…う…!」
「ちっ、しぶとい奴…! だが、今度こそ!」
一度は避けても、依然アキラ君の危機には変わらなかった。
ツタで吊り下げられた彼はただの的でしかなく、石斧を持った少年は今度は狙いを外さないように再びその凶器を振りかぶった。
揺れが少ない体勢だったから咄嗟の回避が出来たアキラ君だけど、その動作でツタは
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