序章:ある老人の呟き
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えていた琴をひしと抱きしめ、若人のような軽い動きで立ち上がった。眼球に広がるのは、表のゴロツキどもとは比較にならぬ強い邪気と、新たな玩具が手に入ったかのように嬉しく舞う稚児のような喜心であった。
通りの雑踏と喧騒には目もくれず、細い路地へと体の方向を変えて歩いていく。長い髪が風にゆらめき、さながら幽鬼を作り上げていくかのように老人の背を押していき、路地の暗闇が老人の心を知ってか知らずか、さらに闇を増していった。
後に『双つの御遣い』とされる噂は、悪意なき管輅の遊び心を通じて大陸を駆け抜けていく。
「一つは流星と共に、一つは戦乱と共に世へ降り立ち、この大陸を猛き者の国とするであろう」
その片割れの名は、北郷一刀。世を憂い、天に王道を敷く者の助けとなる者。
もう片方の名はまだ知れぬ。ただ知るのは、強き武と賢き知にて大地を赤く染め上げる、覇者の器の持ち主であること、ただ一事。
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