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無欠の刃
下忍編
影分身
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く。
 びりびりとした衝撃と確かな手ごたえに、ネジはその場に倒れ込んだ。
 しばらく、審判はネジの様子をうかがっていたが、強い衝撃で脳震盪が起きたらしく、ピクリとも反応しない。
 審判はそれを確認すると高らかに叫んだ。

 「勝者、うずまきナルト!!」

 誰もが予想外の展開に息をのむ中、カトナは嬉しそうにナルトに手を振る。
 それにいち早く気が付いて、ナルトもまた笑顔を返した。

 「…逸脱の術、成功ってば」

 にししと、ナルトがピースサインをカトナに向ければ、嬉しそうにカトナは何度もうなずく。
 逸脱の術。その効能は目を逸らし、意識の蚊帳の外に置ける。
 わざと白眼で手裏剣に化けた影分身を見抜かせることで、意識をそちらに集中させ、地面への警戒をおろそかにした。
 影分身も言ってしまえば派手な搖動。本体であるナルトの居場所を把握させないための物。
 ネジがもう少し冷静でいられれば、この術には対応できただろう。
 けれど、ネジにとって今のナルトは直視しがたい物であり、目を逸らしたいものであった。
 それが勝敗を分けた。
 知らず知らずのうちに、一人、また一人が拍手をし、会場全体が拍手に包まれる。
 会場の真ん中で、嬉しそうに拍手を送る観衆へ手を振りながら退場したナルトを、そこにいた忍びは注視し、そして誰もが驚愕していた。
 足で印を組んだこと、というのは、それほどのことであった。
 足の印は、すべての忍び達を困惑に陥れた。
 無理もない。今まで常識であったことが、実は違っていたという衝撃は、筆舌しがたいものなのだ。
 …例えるならば、自分たちが立っている地面が球体であったことを告げられたような衝撃なのだ。
 それに困惑しない人間はいないだろう。
 そして、この男…大蛇丸もまた動揺していた。
 彼の長年の研究では、どう頑張っても印は手で組まなければ忍術は発動しなかった。

 …うずまきナルト君、ねぇ。

 たとえそれが彼が考えたものでないにしても、彼が行ったことは事実なのだ。
 大蛇丸の興味を引くのは、それで十分だった。
 今の今までカトナとサスケしか警戒していなかった大蛇丸が、ナルトを警戒してしまった、瞬間であった。

・・・

 「ナルト、の、勝ち」

 嬉しそうに笑ったカトナの頭を撫でた後、サスケは言う。

「次はお前の番だろ」
「ん」

 背負っていた大太刀を鞘からするりと抜き放って頷いたカトナに、サスケは尋ねる。

「新術は使う気か?」
「ぎりぎりまでは、内緒。手のうちは、ばらさない」
「そうか」

 しかし、拭いきれない違和感が彼の中に存在する。
 カンクロウという男が、時折、緊張したようにカトナを見るのが気になって仕方がないのだ。
 対戦相手
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