第ニ章。妖精の神隠し
第十二話。『次は……しましょうね』
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もはぶかれてしまう俺って……。
まあ、なんとなくそうなる予感はしていたから心構えは出来ていたんだが、リサが我が家で過ごすには超えないといけない高いハードルがあって。
(両親、とりわけ従姉妹になんて説明したらいいんだ??)
一文字家の実質的な支配者というか、家計を支えているのは理亜なので彼女に説明をして、納得してもらえるか、その説得の仕方により、リサの処遇は決まってしまう。
一文字の両親はほとんど家に帰ってこないからな。
「はふぅ」
授業終了後、頭を悩ませて溜息を吐いていると。
「おいおい、何辛気臭いキモ顔をしてんだモンジ?」
「モンジっていうな。
それにお前に話したらお前が殺人犯になり、俺が被害者になっちまう事を考えていたから話さん」
「なっ……お前……!」
「悪いな、アラン。
俺はお前より先に大人になっちまったんだ」
嘘ではない。高校生の身でありながら専属のメイドがいる時点でただの子供じゃないからな。
「お、おい、マジか……??」
もの凄い狼狽えようだが、からかいすぎたか?
「お前……まさか……!」
「ああ、そのまさかだ!」
まさかって何がだ?
と思いながら悪ノリしてやるとアランは……。
「音央たんと何かあったのか??」
とんでもない勘違いをしていた。
「昨日の放課後、お前と音央たんが一緒に出かけたのは知っているんだぞ!」
「なんで?」
「3人で出て行くのを見たからだ!」
いや、そこに一之江もいるのを見てんじゃねえか!
まぁ、アランの妄想が先走っただけなんだろうが。
「まあ、落ち着け」
「落ち着こう」
アランの態度はあっさりしたものだった。
きっとアランの事だから俺が女の子達と何かあったなんて思いもしないんだろう。
別に何かあるのが嬉しいわけではないがな。
むしろ、ヒス持ちとしては即刻立場をアランと入れ替えて欲しい。
俺は出来れば女子達と関わりあいたくないんだよ。
「ってか、お前。音央も狙ってたのか?」
「フッ……甘いぞモンジ」
「何、得意げになってるんだよ。あとモンジって言うな」
「僕は可愛い子はみんな好きだ! だが、自分から仲良くする勇気は、無い!」
いっそ清々しいほどのチキンぶりだな、アランよ。
「試しに聞いみるが、なんでだ?
可愛い子と話せるのは嬉しいものじゃないのか?」
俺にはよくわからんが、一般的な男子高校生は女子と会話したいと思うものじゃないのか?
「そりゃあ嬉しいさ! だがな……それ以上に、嫌われたらショックだからな」
嫌われたら嫌だから、遠巻きにニヤニヤする。
なるほど、それは正しいピュアボーイの在り方かもな。
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