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101番目の舶ィ語
第ニ章。妖精の神隠し
第十二話。『次は……しましょうね』
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ている声が聞こえた。
というか、主人に対してなんちゅう物言いだリサの奴。
あれか。キリカの裸見たのを怒ってるのか?

「死なないんだよね、瑞江ちゃんがそういう状態でいる時は」

キリカが一之江の攻撃で俺が死なない訳を音央に語るのを聞きながら思う。

最近、俺の扱いが人間扱いされてねえぇぇぇ??
いや、自業自得だけど……人間だぞ、俺。

ちなみにキリカがいう、一之江のそういう状態とは、『月隠のメリーズドール』の能力を発動させている時の状態で、以前ちらっと見たボロボロのドレスを纏った金髪少女の人形姿の事だ。

「まあ、そうです。なので音央さん、心配はいりませんよ」

「え、あ、うん、いいのかなあ……?」

良くないぞ。本当は良くないからな。
前世でもそうだったが、こういう事が日常的にあると、きっと『慣れって怖いね』で終わるからな!
俺は激痛とショックのために薄れていく意識に必死に抵抗しようとするが、どうやら一之江の刺し方は、相手の意識を奪う事にも長けたもののようだ。
消えていく思考の中で俺は……。
脱出不可能とされる、『人喰い村(カーニヴァル)のロア』から抜け出せた事を理解してすっかり安堵したから気絶した。
そういう事にしたのだった。

……ガクり。


















2010年?日?時?分。

不意に目を覚ますと、そこは物静かな和室だった。
畳の匂いが仄かに鼻をくすぐり……なんとなく記憶を刺激する。
この畳の匂いを何処かで嗅いだ事があるような、ないような不思議な感覚がした。
外の光が障子越しに薄く眩しいのを見て、俺はこの場所を思い出した。
布団の中はぬくぬくと暖かく、何時迄も入っていたいがそろそろ出ないと『彼女』に笑われてしまう。
______あの優しい笑顔が見れるなら二度寝もいいかもしれないけどな。
そんな事を思いながら柔らかな微睡みの中に溶けこんでいく。
ここがどこで、今がいつで。自分が誰なのか、なのかは。
そんな事はどうでもいい。
今はただ……。

「もう一度寝てしまうのですか?」

枕元に佇む『彼女』の優しい声をもっと聞いていたい。
彼女とここでずっと過ごしていたい、という想いが溢れる。

「それもいいかもしれないね」

自分で呟いた言葉が、まるで誰かの言葉のように頭に響いた。
まるで産まれて初めて言葉を発したかのような、そんな感覚に陥った。

「あ……ふふっ」

「ん?」

俺の声を聞いて、その少女はくすくすと笑ってくれた。
その笑顔を見ているだけで、心が安らぐ。
このまま彼女の笑顔を見つめていたい。
このまま彼女とずっと一緒に……。
このまま彼女とずっと……。
ドクン、ド
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