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第四十五話 様々な想い
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に晒されていた。
「織斑君、箒さん!」
紫苑と違って、大きく疲弊していた二人は完全に避けきれていない。このままでは致命的なことになるのは目に見えていた……だが、幸いにもこの光の雨はすぐに止んだ。
二人が無事なのを確認した紫苑は、すぐに周囲を探る。すると、一つ反応が増えていることに気付く。そこに視線をやると、見えたのはエムを抱える黒いISの姿だった。
「あなたは……!」
それは、かつてオータムとともに学園に現れた……リラと呼ばれていた者。
『まったく、私の仕事はお守りではない』
それはきっと、同じように以前オータムを連れ出すことになった時のことも含むのだろう。
「リラ……ですか?」
このタイミングで新たな敵。紫苑はただ、そう問いただすのがやっとだった。
『その問いに答える必要性を感じない。ここは見逃してあげるから、そこの二人を連れて帰るといい』
そう言いながら、一夏と箒を指さす。満身創痍とはいえ、気絶しているエムとは違い動くことができる。リラは、謂わば三対一の状況であるにも関わらず、見逃す、とそう言い放ったのだ。
『理解できない? あなたも荷物を抱えているし、交戦すれば、自分も無傷とは言わないまでも、瀕死の二人にトドメを刺しつつ逃げるくらいはできる。でも、それは面倒だし、私の仕事ではない。だから、見逃すと言っている』
ただ、単に事実を述べているだけ、といった様子で無機質に語るリラ。一夏が何か叫ぼうとしているが、箒に止められている。彼女は、状況がわかっているのだろう。一方の紫苑も悔しさに顔を歪めながらも、言葉を発することができない。
『理解できたなら重畳、それじゃ』
そう言い残し、あっさりと背を向けてその場を去って行く。
その際、リラのフルフェイスタイプのヘルムから髪が靡いた。全身黒ずくめの中で、膝裏近くまで伸びる美しい銀髪が、紫苑の脳裏に焼き付く。
紫苑達は、様々な感情を抑えながらも、彼女らが立ち去るのをただ見送ることしかできなかった……。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
エムを救い出し戦闘空域を離脱したリラは某所において、同じく楯無との戦闘を逃れてきたスコールと合流する。
「手ひどくやられたみたいね」
スコールはエムの様子を見ながら肩を竦める。
「きさ……まに、言わ……れたくは、ない!」
いつの間にか意識を取り戻していたらしいエムも、片腕を失っているスコールを見て言い返すが、やはり傷が深いのか声に力はない。
「五十歩百歩」
一方のリラは、感情が込められている様子もない声で一言漏らす。
と、そのとき……。
「やぁやぁ、こんにちは」
『!?』
この場にいる
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