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第四十五話 様々な想い
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リースナヤ』。専用機専用パッケージ『オートクチュール』である。簪が楯無のために作り上げたそれは、ミステリアス・レイディの出力を大幅に上げ、擬似的に二次形態に匹敵するレベルまで押し上げた。結果的に発現した楯無の単一仕様能力。
それは、超広範囲指定方空間拘束結界。なにせ、対象を空間に飲み込むのだ、その拘束力はラウラのAICを遙かに上回る。もっとも楯無自身がまだ完全には使いこなせていないため、今回はスコールの片腕の拘束にとどまったが。
「確かに。それにしてもこれは想定外ね。でも……」
この後に及んでもなお余裕を残すスコール。しかし、それは意外な形で崩れることになる。
『スコール、イレギュラーが発生。目標がルートを急に変えた。このままではエムと鉢合わせになる。私も追うが、間に合わないかもしれない』
突然の通信に、ついにスコールの表情が歪む。楯無にはもちろんこの通信が聞こえていないが、スコールの様子から何かがあったことは悟っているようだ。
「はぁ、ここまでね。残念だけど、今回は暮桜を諦めるわ」
「このまま帰す訳ないでしょう!」
その言動に不穏なものを感じた楯無は、すぐさま蒼流旋を構えて接近を試みるが、スコールはここで思いがけない行動に出る。
拘束されている自らの腕を……ねじ切ったのだ。
「なっ!」
その行為に、さしもの楯無も驚愕を隠せないがそこで止まるような真似はしない。だが、続くスコールの動きに、止まらざるを得なくなる。
「また会いましょう、生徒会長さん」
言うや否や、スコールは自身のISで火球を生み出し、未だ宙に浮いているように拘束されている腕に向けて放つ。それが着弾すると同時に激しい爆発が起き、すぐ近くにいた楯無は大きく吹き飛ばされる。
防御は間に合ったもののその一瞬の隙は致命的で、体勢を立て直したときには既にスコールの姿はない。
「なんてこと……。紫苑君……っ」
学園長には既に連絡をしているのだが、この場に未だ応援がきていないということは情報の秘匿を選んだということだろう。それほどまでに、この空間の存在は一般には知られていない。つまり、スコールはこのまま逃げおおせる可能性が高いということだ。
そしてそれは同時に、西園寺紫音が男であるということが公になる可能性が高いことを意味した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
戦闘には決着がついたものの、紫苑は困惑していた。
ナターシャが意識を失う間際に彼に告げた『この子を助けて』という言葉。なぜ先ほどまで戦っていたはずの相手に助けを求めるのか。『この子』というのが、彼女の纏うIS……『銀の福音』であることは直前に交わされた僅かばかりの会話からも感じ取ることができた。しかし、一体何か
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