2認められるという事
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ミナが手を触れると、薄黄色の光は消え、すっと彼女の手元へと落ちた。
そんな事が出来るという事は、これを送った張本人はミナの部屋が見えるところにいるということだ。
それに瞬時に気が付いたミナは警戒しながら辺りを見渡す。人が居ないかを探す為だ。
だが、部屋から見える廊下などには、見回りの先生ぐらいしか居らず、他に人の気配などはしなかった。
普通ならば寝てなければいけない時間なのだ。するほうがおかしい。
「………」
ミナは警戒を解かずに窓の扉を閉めると、ベッドへと腰を下ろした。
茶色の封筒で、魔法の類は掛けられていなかった。覆い込むようにあとから屈折魔法は掛けられたのだと悟った彼女は、封筒の裏を見た。
普通ならば名前を書くはずなのだが
「…やっぱりないか。」
やはりというか、名前は無かった。
名前を調べる事は簡単なのだ。物の記憶を追う、「物喰魔法」と言うものを使えば、物が見た記憶を見れるのですぐに分かるのだが。
今は魔法禁止時間なのだ。使って罰を与えられる事はミナは避けたかった。
もうすぐスニュニアを卒業するのだ。そんな時に罰を貰い、留年はしたくない。
ミナは覚悟を決めると、ベッドに仰向けで寝転がり、封を切った。
中身を取り出すと、そこには一枚の紙と、「影魔法」の応用でなのか、物体を消していたと思われる鍵が出て来た。
ミナは手紙の中身をざっと読み始める。
「……っ!!」
はっとしたかのように読んでいた顔を上げると、パタパタと準備を始め、備え付けの電話をカチャッと取った。
備え付けの電話は、部屋番号を指定しない限り、先生たちが居るコームセンターにつながるように設定されているのだ。
「はい。9123室のミナ=セリアンヌ・リアスタ。ご用件は」
プツッという音とともに、冷ややかな、驚いているような声がミナの耳へと届く。
普通の生徒は寝ている時間なので掛かってくる事自体がおかしいのだ。
また、ミナ自体こんな事をするのが初めてで、先生もそれを知っているから声音に出たのだろう。
「すみません。外出許可を願いたいのですが」
ミナは出来るだけ急いでいる事と慌てている事を隠すように、冷ややかな声でそう伝える。
「…理由をお聞かせ願います?」
ここの外出許可は異例でも無い限り、出させて貰えない。
前、教室に忘れ物をしたという理由で許可を取ろうとしていたひとですらも無理だった。
しかも化粧室やシャワー室は部屋についているので、そういうのでも無理なのだ。
ましては皆が寝ている時間。部屋に遊びに行くということは断じて断られる。
そんな事を考えながらも、ミナは実際に今日やってしまった事を話した。
「実は貸出許可を得ずに手元に持っていた本がありまして。それに気づいたので返しに行きたいのですが。…夜調べるのにご迷惑をか
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