否定に傾く二人の
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為にも……絶対に認められない。
世界はそうして繰り返す。この甘い世界であれど、現実世界を知っている彼だけは、大陸を支配できる一人の王を求め続けていた。
「……つまらねぇ奴だな、お前」
興味を失った郭図は呆れと侮蔑を吐息に含んだ。
「ああ、俺はつまんねぇ奴だ。
だが、分不相応な願いはもう持ってる。天の操り人形なんざじゃなくて、俺は俺の意思で世界を変えるんだよ」
懐に手を突っ込んで、彼は短剣を取り出した。
目を細めた郭図はその凶器をじっと見やる。
「明から伝言だ。『お前みたいなクズは直接食べるに値しない。豚みたいな泣き声を出しながら全く関係ない徐公明に殺されな。嘲りも侮辱も愉悦も……憎しみすら持たない化け物に淡々と殺されたらいい』だとよ。はっ……酷い言いぐさだよな?
あのバカは俺がお前を殺す事を望んでるらしい。最後にバラバラになったお前の死体を確認出来たら十分なんだと」
冷たい声と瞳は、感情を一切孕んで居なかった。
郭図の頬に、たらり、と汗が一つ流れる。
「……んだとぉ?」
「もう従えとは言わんよ。ホントは、お前のような奴は社会の成長の為に必須なんだが……生かしておくとこの乱世では邪魔だからな。他と繋がられても面倒だ」
――人となりはよく分かった。史実の裏切り者達と同じく、こいつは才能があっても殺すべきだ。
内部の裏切りでどれだけの英雄が機を失ってきたか彼は知っている。そして郭図の在り方は、彼の目的に合致しない。
この乱世を早く終わらせるつもりなら、不穏分子は黒麒麟以外に必要なかった。
「それに、俺も聞きたい事があるんで……丁度いい」
短剣を投げられ、郭図の頬に一筋の切り傷が走る。ぴりぴりとした痛みの後、ぐらり……と世界が歪んで行く。
昏く、暗く秋斗は口を引き裂いた。
「直ぐに話すなら楽に殺してやる。拷問の準備するから今は寝とけ。まあ、明に教えたファラリスの雄牛で殺されるよりはマシだから安心しろ……つっても、俺以外分かんないか。
とりあえず起きたら……“神医の居場所”を吐いて貰おうか」
既にヒトゴロシになった彼は、自分が求める情報を得る為に躊躇いは無く……綺麗なままで居られるはずも、誰かに任せることも嫌で……自分の為の仕事は己が手で遣り切らないと気が済まない。
華琳や月とは違い、汚れ仕事を知っておかなければならないのも一つであった。
次に郭図が聞いたのは同情の声。
「お前の想いは繋いでやれないけど、お前みたいな奴がちゃんと実力で伸し上がれる世界にするよ……人が死に過ぎる戦はこの大陸から奪わせて貰うが」
見下しとは違うその声に、
「……ほんと、てめぇ……死ねよ、道化」
憎しみがあらんばかり宿る視線を
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