否定に傾く二人の
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根底にあるのはそんな想い。羨ましいと思うことは無いが、自分の身を武将から守れる力があれば戦略の幅はぐんと広がる。
何処までいっても郭図は軍師思考しか持てないし、持ちたくなかった。
呼ばれた名に目を見開き、彼は心底吐き気がするといった様子に表情を歪めた。
「御使い、ね。天の操り人形如きがソレを自慢してどうするよ」
「おお? 自分の存在が下らねぇって自覚もあんのか。クカカッ! 笑えてくらぁ! 自覚あるクセに従ってやがるなんて……カカッ、道化だなてめぇは!」
人を逆なでする事が得意な郭図は、彼の突かれたくない所を真っ直ぐに突く。
しかし秋斗は別に怒りも浮かばない。むしろ嬉しくすら思っていた。はっきりきっぱりとそれを口にする郭図のおかげで、彼は自分がどう思われるかを認識出来るのだから。
愉悦の極みにある瞳で、郭図は秋斗を見下して嗤う。
「ははっ! ほんっとクソだな! 口で綺麗事のたまって、自覚してる癖に乱世を回す偽善者で嘘つきな道化……くはっ、袁家のじじい共にも劣るクソ野郎だぜぇ……?
クカカ、実力主義の社会を作りてぇんだろぉ? たった一人、天の加護を受けてる奴が良く言うぜぇ……てめぇ自身が家柄で上に立ってる奴等となぁんにも変わらねぇじゃねぇかバァカ!」
腹を抱えて、目に涙すら浮かべながら嗤っていた。これほど楽しい事は無い、と。
対して、彼は笑みすら浮かべていた。そんな秋斗に気付いて、郭図の心が幾分冷えて行った。
「あー……なんだぁ、てめぇ? 何が可笑しい」
「いや……」
――存外、正しかったなぁと思ってな
口に出すことはしない。
誰かしら、郭図のように彼を見下すモノが居るなら黒麒麟と自分が嘘をつく価値はあった。
才あるを用いる実力社会を目指している秋斗にとって、自分が異端であることは矛盾。己が寄って立つ誇りなど其処には無く、誰も同じモノを手に入れられない為に諦観からは抗えない。
矛盾した論理は元から破綻している。本来なら華琳の元にだけは、彼は居てはならない。
「お前は聞いてた通りの人間だなって思ってさ」
本筋の思考とは別の事を話す彼はいつも通り。
郭図はその気味悪さに檻の中で一歩引いた。手足を縛る鎖がじゃらりと音を立てた。
まさか自分の事を狙っているのかと、おかしな方向に勘違いをしていた。
「……女だらけでも動じず娼館にも行かねぇのはそういう事かよ。幼女趣味は擬態か……マジきめぇ」
ドン引き、と言った目を向けられて思わず秋斗は頭に手を当てる。
――女に手を出さないってだけでそう取られるなんて……かったりぃなぁ、この時代。
確かに今の自分は傍目から居たらそういう輩にしか見えないと気付いて。
「そういう趣味はねぇ
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