否定に傾く二人の
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口には笑みを、瞳には歓喜を宿して。
彼の選択の一つで、その少女が手に持つデジタル数字盤の列が一桁まで消え失せた。残す所はあと……。
パチン……と指を鳴らす。
現れた筋骨隆々の変態は、驚愕に目を見開いて蒼褪めていた。
「……なんてことを……」
にやける少女はカタカタとキーを叩き、その変態が“嘗て存在した”突端の世界をモニターに映しだす。
「……無限に開かれた外史に於いて忘れられた存在が二つ。裏に引っ込んだ少女達と違い、こいつらだけは完全に消えてます。肯定された恋姫外史には……否定の剪定者は必要ありませんもんね、貂蝉」
其処には二人の道士服を着た男が映し出されていた。
繰り返される運命に否定を願った二人。終端の果てに望みが叶わず、もはや存在さえ世界に認められていない。
「徐公明は一つの可能性。“天の御使いが居なければ”……恋姫外史の突端への否定想念で生まれたこの虚数外史で、存在定着率の揺らいだあの男は存在自体が歪んで行きます。このままじゃアレと似たようになっていくでしょうねぇ?」
にやりと笑う。
貂蝉は目を伏して憂いを浮かべ、胸筋を膨らませた。
「……哀しい外史を作るつもりなのねん……喜備様」
「この外史が壊れてしまえば、ですけど。あと敬語は止めてください。所詮は外史群体レベルでの上下関係に過ぎませんから……って言っても、無駄ですか」
呆れのため息を一つ。カタリ……と鳴らしたキーの音だけがやけに響いた。
「それにしても、ジョカシステムがまさか復元力を使って直接介入してくるとは思いませんでしたよ」
「……実数外史の中でもさらに異端外史の記憶を投影。虚数外史への直接介入が為せたって事は……虚実の確率歪曲が始まった。ご主人様の存在自体を否定するあの人が御使いとして観測された利で介入出来るならもう……別のゼロ外史が生まれる兆候かそれとも……」
悩ましげに眉を寄せる貂蝉。
見られたモノでは無いが、喜備と呼ばれた少女は気にしない。
「それだけ世界側も焦ってるってことですね。御使いの否定は多くの恋姫外史の否定とほぼ同義です。壊れるのは当然、壊されるのも当然……しかし異端であれ存在する限り、此処にあるモノが全て、否定も肯定も自由の矛盾ロジックでありながら、終端は決められている……ですよね、旧管理者?」
確信を持って言う喜備とは違い、貂蝉は何も答えない。悲哀に暮れる眼差しで、黒の男を見ていた。
「ただしそれも……確率収束点を越えられなければの話。あの男が為るモノは変わりませんが、事象改変は成るでしょう」
キィ、と椅子を傾けた。
「安心していいですよ。この事象さえ上手く行けばあなたの大切なご主人様とこの男が戦う未来はありません。私もそ
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