暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
月下の死闘(U) 〜舞い踊る剣舞〜
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対策が頭を駆け巡るが、完全に現状を打破することは無理だ。
 回避に徹するか数を減らすか、どんな対応策を考察しても確実に何本かは被弾する。
 考えていなかったイリヤの無力化も、主の意識の有無に関わらず使い魔が自律行動するかもしれない可能性を考えれば悪手でしかない。

「終わりね」

 主人の命に従うだけの殺意も悪意もない十の剣が、機械的にその刃を向けてくる。

 同時に突き出される死の棘は、その一本であろうとも死に繋がる致命の一刺し。
 先手を打たれては成す術はないと、未だ頭では対策を練りながら俺は前へと踏み込んだ。

「っつ、ァア!!」

 イリヤの近くに展開している前方の剣六本は、距離がある分優先順位は低い。
 まずは周囲にある四本、既に攻撃態勢に入っているこれらを片付ける必要がある。

 一歩前に踏み込んだのは間合いの調整。振り返りざまに裏拳で右の剣を弾き飛ばす。
 続けて突き出された左の剣を蹴り飛ばし、背面から同時に迫っていた二本の剣を正面から迎え討つ。

 片方を左腕で防御しながら、もう片方をアッパーで打ち上げた。
 残る一本を肘で叩き落とし、蹴り飛ばした後再度突撃してきた剣を紙一重で躱しながら掌底で打って落とした。

 先ほど刻印弾の装填方式を変更したおかげで、剣型の使い魔は一撃で崩せた。
 殴打では接触時間は秒にも満たないが、そんな僅かな瞬間でも四発分の術崩しを撃ち込める。

 振り返り、前方に向き直る。
 既に突進を開始している剣六本、ここまで完璧に捌いてきたのにこんなところで食らうわけにはいかない。

(ッ! これなら────!!)

 ほぼ同時に飛来する剣。

 複数回に分けて飛んできていたら終わっていたが、一斉に来るのなら対処方法がある。

 集中しろ。感覚を研ぎ澄ませ。

 冷静に(つめたく)冷徹に(つめたく)冷酷に(つめたく)

 己が身を魔術理論と戦闘術理を体現するだけの部品だと思え。
 雑念を消去し、透徹した思考を。凌ぎきれなければ死あるのみ。

 左腕に巻きつけていた革ジャンを解き、硬化と強化を掛け直して大きく広げた。

 斬撃、剣の刃は防げても貫通特化した刺突は防げない。
 だが壁にはならないが使い方次第で、六本の剣をまとめて対処できる。

 タイミングさえ間違えなければ────!

「そこだ、オッラァ!!」

 革ジャンを広げたまま横薙ぎに振り払う。

 突き刺さりながらも突き抜ける前に、革ジャンごと剣が絡め取られる。
 刺突は防げないが、剣の斬撃は耐えることを活かした防御手段だった。
 剣の刃が魔術で防具にした革ジャンを切り裂くほど鋭いものだったなら、横薙ぎにした時に絡め取られることなく引き裂いていただろ
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