暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
月下の死闘(U) 〜舞い踊る剣舞〜
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フェンサーが戦闘離脱したようだ。バーサーカーとそこそこの距離を開いている。
 合流まで恐らく数分。その間を持ち堪えれば、フェンサーの助けを借りて撤退出来る。

 問題はこの戦局。盾は二枚で防御は十分として、布陣を攻撃性能に傾けて来た。
 向こうも気づいているかどうかに関わらず、こちらが対策を取れない手段を講じている。

 現状において唯一俺が対処できないもの、それが剣型の使い魔の刺突だ。
 鳥型の射撃は耐えられる、盾型の守りは打ち壊せる、斬撃は左腕の即席防具で弾ける、あるいは直撃しても大した傷は負わない。
 ただあのアスファルトをも軽々と抉る、貫通に機能限定し突貫力に特化した剣突はどうにかして避ける以外に対処方法がないのだ。

 急所に当たれば終わり、腕や足は掠めるだけならまだしも当たり所によっては千切れ飛ぶ。
 何とかして術崩しを叩き込めればいいが、さっきは数が少なかったからこそ対処のしようがあったようなものだ。

 物量で攻められたら一番お手上げなのがあの剣型だった。

「はぁっ、集中だ集中。やってやれないことなんてない」

 目前に浮かぶ剣が四本。

 あれの斬撃なり刺突なりを一度凌ぎ、数を減らせればこの先の展望も見えてくる。
 イリヤがすぐに追加をしてこないとも限らないが、ここまでの流れを見るに何故か即時戦力補強はしてこなかった。

 今回もそうであることを祈るしかない。

 今度ばかりは欲張るつもりはない。一度攻め手を潰せたなら、盾で守りに入っているイリヤは無視して撤退する。

 ────戦闘態勢に入った俺を嘲笑うように、イリヤが微笑を浮かべた。



Zugaben(アンコールよ), Wiederholungsspiel(舞台はまだ続いているのだから)



 少女の再演の呼び声と共に、つい先ほど破壊した使い魔達の破片……イリヤの髪が息を吹き返した。

 浮かび上がる白き魔力。結ぶ実像は鋭き長剣。
 三種二体ずつで計六体だった使い魔が、全て剣型で復活を遂げた。

 術式の自動復元? 再構成?
 理屈は分からないが、一度崩したはずの使い魔が活動を再開する。

「いや無理だろ、これ」

 デタラメなんて話じゃない。完全に魔術師としてのレベルが違う。
 髪を媒体に即席で使い魔を形成するだけでも規格外だというのに、同時に十以上の数を使役するなどと。
 彼女の得意分野に連なる手法で使い魔という形を成しているのだとしても、事前準備もなしに同じ芸当が可能な魔術師は稀有だろう。

 そして剣型の使い魔十体に囲まれた。
 剣先がこちらに向いている……全てが刺突の攻撃態勢にある。

 前方に六体。後方に二体。両側面に一体ずつ。
 
 刹那の間に幾通りもの
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