暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
月下の死闘(U) 〜舞い踊る剣舞〜
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浴びれば消し炭間違いなしだが、魔術師であれば防衛手段は用意しているだろう。

 この収束雷撃が効いているかはともかく、イリヤを本気で制圧するなら加減する余裕はまるでない。
 万が一のことを考えて余力を残しておきたかったが、ここで全てを懸けなければ俺は朝日を拝めないかもしれない。

 イリヤの使い魔もまだ数が増える可能性は高い。

 これまでの様子を見るに、後二体……合計八体まで増える目算を立てている。

Change from revolver to automatic.(回転方式から自動方式に変更)

 刻印弾倉の再構成。
 一撃ごとに術崩しを仕込むのは確実だが、使い魔の数が多いせいであまり手を掛けていられない。
 一度触れた時点で対象の破壊を確認するまで、術崩しの弾丸を連続して撃ち込む術式に変えた。

 次で最後だ。これ以上付き合っていては本末転倒。
 倒せれば御の字だったが倒しきれないなら、当初の目的通り素直に撤退する。
 撤退するにしても結局は困難だろうが、俺一人で戦っているわけではないのだ。

 フェンサーも戦果はともかく、どうにかして退いてくる頃合だろう。

 電撃の渦が消えていく。
 舞い飛ぶ魔力の炸裂光が大気に溶け、夜の闇に消えていく。

 そこには当然と言わんばかりに、無傷の姿を誇示する白き少女があった

(素の障壁で全部無効化したのかよ……どれだけ魔力差あるんだ)

 気を取り直し、体内の魔力を共振させる。
 刻印弾倉に込める弾丸の数は両腕合わせて100発。
 
 懲りずに攻めるフリをしてから、意表を突いて撤退するのが次善策か。

 もう一度使い魔を展開してくるとして、その陣を潰してからでないと逃走も困難だ。

「………………」
「──────」

 表情からは色が消えたまま。紅い瞳だけが殺意を湛え、怖気を感じさせる。
 昼の顔も夜の顔も、常に笑みを浮かべている印象だったからこそ恐ろしい。

 限界まで共振した魔力、装填した術崩しの刻印弾。
 現状用意できる手段、魔力の最大値はこれで打ち止めだ。

 イリヤの方もさっきの六体の使い魔では、俺を倒しきれないのは理解している。
 剣、盾、鳥の構成数を変えてくるか、そもそもの使い魔の数を増やしてくるか。
 予想では後二体は追加が可能だと踏んでいる。合計八体……構成次第では逃げ切れないどころか致命的な状況になる。

 どういう布陣を組まれると困るかは、既に看破されている。

「…………まさかね。ちょっと勝負を急がなきゃいけないみたいだわ」

 呟くと同時、再度形成される使い魔六体。
 剣が四体、盾が二体。砲撃支援は効果が薄いと見て捨てたか。

 一瞬だけ意識を外界に広げる。

 
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