暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
月下の死闘(U) 〜舞い踊る剣舞〜
[5/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
地面に軽々突き刺さる剣が、さっき電柱を切れずに刃を止めたのが証拠だ。
 魔術も万能ではない。剣の形状をしているが、アレは切断よりも貫通に特化している。

 上着の革のジャンパーを左腕に巻きつけ、強化と硬化の魔術を掛ける。
 革とはいえ重ね巻きした上に、強化硬化を重ね掛けしたので鉄甲くらいの強度にはなる。

 とりあえず斬り付ける攻撃には左腕を盾にする。
 この使い魔群を抜いて、イリヤに攻撃を届かせないと話にならない。

「準備はいいようね。Tanz wieder(もう一度踊りなさい)……!」

 イリヤの号令一下、使い魔が一斉に活動を開始した。



 鳥からの光弾はある程度の被弾は仕方ないと割り切ろう。
 首から上、もしくは足への集中攻撃などが来たら防護策を練る。
 問題は剣がどれほどの脅威となるか、盾の防御能力が上がっているかどうかだ。 

「ッ……く、オッラァ!!」

 左右から飛来する剣。
 片方を左腕で防ぎ、もう片方は剣脊を裏拳で叩いて弾く。

 一撃で破壊できない……ならばと二撃目を打とうとするも、鳥からの光弾が肩に直撃し阻止された。
 邪魔になるが衝撃としてはよろける程度。撃ち落とそうとして剣の攻撃をモロに受けるのは危険だ。

 やはり、先に剣を片付ける────!

「右にもう一発入れれば……」

 この直接接触による術崩しが効かないということは絶対にない。
 先ほどの剣が一撃で壊れたことを鑑みれば、もう一発打ち込めば崩せる見込みが高い。
 強度向上や術式変更を行ったとしても、"機能特化した使い魔"である以上根本的に変えられない部分が多い。

 制約があるからこそ一つが限界突破する。

 だからこそ攻撃性に念頭を置いた剣型の使い魔が、耐久性に乏しいのは言うまでもなく。

「ふんっ!」

 振り下ろす手刀が剣を砕く。目論見通り、二撃目によって崩れ落ちる。
 続けて側面から来る斬撃を膝蹴りで跳ね飛ばし、そのまま交差するように両の拳でもう一本の剣を破砕した。

 先刻よりは固い、だが二撃で落とせる。

 魔術刻印に残る式弾。左に五発、右に四発。
 盾の使い魔。あわよくば三発で潰せればいいが、残弾数として最高でも四発までだ。

 一定間隔で吐き出される光弾を悉く無視し、イリヤに向かって吶喊する。
 両者の間に展開される盾が二枚。重ねて防御力を増強するつもりだろうが、結局は同じこと。
 突撃の勢いのまま第一撃となる正拳突きからの連撃を叩き込む。盾の強度が想定以上でないことを祈って。

 

「が、はっ……!?」

 三撃目を打ち込んだ後、光弾二発が鳩尾に刺さる。

 ほぼ同時に炸裂した衝撃に呼吸が乱れる。
 しかし攻め手を緩めるわけに
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ