暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
月下の死闘(U) 〜舞い踊る剣舞〜
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それを守る使い魔の盾。これを撃ち抜けるかどうかが勝敗を……否、戦闘が成立するかの分水嶺。
拳に込める魔力。魔術刻印から威力増強、術式干渉を引き出し装填する。
学園でキャスターの使い魔を破壊していたのと同じ要領で、力と術の両方であの盾を粉砕する。
これはただ単に力技で殴っているわけではなく、ちゃんとした術理に倣って編み上げた手段の一つ。
聖遺物と同調する黒守の異才と、共振という魔術特性が成す物理と魔術を併せた複合手法。
魔術に含まれる魔力波形を感じ取り同調し、共振させた同調魔力を以て相殺し、相手の術を崩す式を叩き込む。
外部からの物理的な衝撃だけでなく、接続・干渉からの自閉/自衛を含むものでなければこの術技には耐えられない。
現象に類する魔術には当然触れられないが、物質と成る魔術であれば理論上破壊出来ないモノはない。
例外として圧倒的質量を持つ物体や、自動的に術式を復元するような魔術に対しては効果を上げられない。
現状、イリヤが行使している使い魔ならば有効範囲内だ。
「フ……ッ!!」
奇策は必要ない。展開する盾に正面から撃ち込む。
渾身にて放つ拳。伝わる衝撃と共に砕け散る盾。
白い花びらが舞うように、盾を構成していた魔力の残滓が大気に溶けていく。
上手くいった……これは想定通り。
この先にはガラ空きのイリヤが待っているだけ。
二度目の踏み込み、貫き手で槍の如くその華奢な身体を穿つ────!!
「くっ!?」
当てはしたものの、手応えに違和感。
肉の感触がない。ほとんど空を切ったに近い。
たった今ブチ抜いたと思ったのは影。
幻覚や認識阻害を掛けられた痕跡はない。
つまりこちらがハマったのではなく、向こうが作り出した幻影だろう。
最初から幻影を見ていたのか途中で入れ替わったかは不明だが、空振った攻撃の更に先で不敵に笑う白き少女。
もう一度踏み込めば彼女に届くが、三度目のそれを許すほど甘い相手ではない。
背後に置き去りにした剣が翻り、こちらに斬り掛かるのを感知する。
アスファルトに突き刺さる剣だ、人間の体なんて紙切れ同然だろう。
反転して回避。軌道は単純で速くもない。避けるだけならどうにでもなる。
人が振るうよりも歪な剣筋、ありえない位置からの攻撃もあるが、剣一つでの手数は知れている。
何度目かの回避の後、横に切り払う剣をわざと電柱にぶつかるように誘導。
障害物にぶつければ一瞬は動きが止まると期待してのことだ。
これも予想通り上手くいった。電柱にぶつかり火花を散らして止まった剣を肘の打ち下ろしで叩き折る。
さっき盾を砕いたときに強度と術式については
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