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リエン
第一章
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                  リエン
 海南島、今では省となっているこの島にだ、彼は生まれた。
 そして今もこの島に住んでいる、名前を関赤忠という。
 赤忠は地元の大学を出て地元の企業に就職している、二十七になるが彼女はいない。とはいってもだ。
 結婚のことは考えている、それで昼食の時に同僚の趙蒼仁によくこう言った。
「結婚したいな、僕も」
「またその話か」
 蒼仁はその細い目をやれやれとさせて言葉を返した、昼食の炒飯を食べつつ。蒼仁は細い目に細長い顔、髪は七三に整えた痩せ気味の男だ、年齢は赤忠と同じだ。赤忠は背は一八五程あり長方形の形の顔で目は大きい。髪の毛はオールバックにしている。二人共スーツだ。
 大柄なせいかかなりの量を食べている赤忠にだ、蒼仁は言った。
「赤忠は本当に結婚願望が強いな」
「僕も二十七だからね」
「結婚を意識している」
「強くね、誰か相手がいないかな」
「課長に紹介してもらったらどうだい?」
「課長に?」
「そう、王課長にね」
 二人の上司である彼にというのだ。
「そうしてもらったらどうだい?」
「課長にね」
「課長は世話焼きだからね」
「僕がそうした相談をすれば」
「乗ってくれるんじゃないか?」
 こう赤忠に言うのだった。
「多分だけれどね、それかね」
「それか?」
「結婚相談所に行くか」
 これもどうかというのだ。
「どっちかだね、あと合コンという手もあるね」
「合コンだね」
「最近日本じゃ盛んらしいよ」
「あの国で」
「あそこじゃ最近男の結婚願望が低いらしいけれどね」
「理解出来ないね、やっぱり結婚しないと」
 どうしてもというのだ。
「駄目だと思うけれど」
「日本男子は大人しくなっているらしいから」
「結婚をする気もないんだ」
「らしいね、けれど合コンがね」
「日本では流行ってるんだ」
「最近こっちでもやってるよ」
 この海南省でもというのだ。
「それに参加したらどうだい?」
「そうだね、色々やらないと」
 赤忠は真剣な顔で蒼仁義の言葉に頷いた。
「一生独身だから」
「それは嫌だね」
「うん、絶対にね」
「じゃあ色々やってみるんだね」
「そうするよ、是非ね」
 こうしてだった、赤忠は結婚相談所に登録してだった、合コンを斡旋している人にも直接顔を出した、するとそこでだ。
 斡旋している初老の女の人にだ、こう問われた。
「漢人でなくてもいいね」
「漢民族以外の女の人でも」
「それでもいいね」
「民族とか関係ないよ」
 赤忠は女にすぐに答えた。
「いい人と結婚出来るんなら」
「言うねえ」
「僕は結婚したいんだ」
 かなり切実にだ、女にこうも言った。
「絶対に」
「そこまで言うんだね」
「結婚しないと」

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