四十七話:かの人を刺し殺した日
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』
『……いいや』
ローエンの質問に対して含みのある言い方で答えるビズリーに朱乃は、ビズリーは最後の道標の正体を知っているのではないかと考えるが、なぜ、ビズリーがそれを隠しているのかの理由までは考え付かなかった。
『だが、これまでと同じく時歪の因子を探せばカナンの道標は見つかるはずだ。Drマティス一行が協力してくれれば、より確実に』
『ルドガーには、協力します。僕自身の責任と理想のために』
『はい。動かされるのではなく、自らの意志でね』
ビズリーのセリフに対してジュードはクランスピア社への不信をあらわにしながらルドガーには協力すると言う。そしてその台詞にローエンも同意し、自らの意志で行う事を強調する。そんな二人に対してビズリーは軽く笑い言葉を続ける。
『ふっ、己の意志に従う。それこそが人間だ。いい仲間をもったな、ルドガー』
その言葉には反論するところがなかったのでルドガーは黙ってうなずく。そしてビズリーはこれが最後の道標探しだと言い敬意を表し、見送るために周りにいたエージェントを一斉に敬礼をさせる。その事にエルが驚いて周りを見渡す。黒歌達もまるで英雄を見送るかのような態度に呆気にとられる。
『ルドガーに期待しているのだな』
『当然だろう。クルスニクの鍵は最後の希望だ。オリジンの審判を超えるためのな』
ミラの言葉に対してルドガーを見ながら最後の希望だと言うビズリー。しかし、ビズリー程の人間が本当にまだルドガーをクルスニクの鍵だと思っているのかと祐斗は疑問に感じる。ユリウスが気づけたことにビズリーが気づけないとは思えない。それに何より、ルドガーを見送るビズリーの目には鍵というもの以上に期待を向ける物があった。まるで親が子に期待するかのような。
『期待されてるって』
『ああ、エルと“ミラ”の為にも……』
ルドガーはエルにそう答えて覚悟を新たにし、信頼できる仲間達と共に最後の道標を求めて分史世界へと進入していく。そこに待ち受ける存在も知らずに……。分史世界に進入したルドガー達はカラハ・シャールに出る。ミラはその風景に懐かしそうにし、ローエンと始めてあった時のことを話す。しかし、なぜかそこで店の店員がローエンを見て、怒鳴る。そして何故かと理由を聞いてみると八年前に殺されたローエンの姿に動揺したらしい。
「ローエンさんが殺された…?」
その衝撃の事実にアーシアはこちらが一方的に知っているだけとはいえ、知っている人物の悲運にショックを受ける。そして、ジュードはその事実からこの分史世界は正史世界よりも未来の世界だと仮説を立てる。
『ともかく、ローエンが殺害されたという、現場に行ってみよう』
ミラ
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