第椅子取話 参
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がどいてしまえば、シリカと負傷したクラインに攻撃目標が変わる。玉砕覚悟の二人はまるで止まらないだろう。
「マサキさん!」
「……そこで待ってろ」
仕方なしに《蒼風》の刀身を長くすると、射程距離というアドバンテージによる先制攻撃を仕掛ける。リーファより先んじて攻撃を仕掛けようとしたルクスは、防御用の白い剣で延ばされた《蒼風》を防御する。
「えっ」
――いや、したつもりだった。マサキの《蒼風》は白い剣をすり抜け、ルクスの額へ直撃する。風刀ソードスキル《胴蛇貫》――その効果は、一瞬だけ刀身を風に戻すことで、相手の防御をすり抜ける技術。鍔迫り合いの間にやってはただの自滅だが、この場合のように相手が防御に徹している場合ならば、十全に効果を発揮する。
「ルクス!」
リーファの目前でルクスがポリゴン片と消えていくが、そのまま止まらずに突撃していく。結果として、マサキとリーファ、どちらもその視界はルクスのポリゴン片で覆われており、ただやたらめったらに剣を振っても命中しない。しかしリーファは、マサキの《蒼風》が発しているだろう、風の音に対して剣を振った。見えずとも反撃を受けようにも関係なく、リーファの最後の一太刀は風に向かって殺到する。
……長剣を放った瞬間、リーファの脳内に疑問が飛来する。マサキの《蒼風》は風の音などしていただろうか、と。そこまで考えたが最後、リーファの視界が180°回転した。
「お前と直接斬りあう気はない……」
マサキはここにいるメンバーを、過大評価も過小評価もしている気はない。たまにクラインのような、予想外の行動をする者はともかくとして。そしてリーファの近接攻撃の練度は高く、一か八かの一撃を受けてやれるほどマサキに余裕はない。
発動したのはソードスキル《旋花》。風を操りコイル状の竜巻を起こし、その竜巻による相手の妨害かこちらの高速移動に使用する、補助と妨害のソードスキル。本来ならば相手に蹴りつけて使うものだが、今回は視界が遮られていることもあり、設置用の罠として活用された。
「キャア!」
急遽竜巻に巻き込まれたリーファは対応出来ず、視界をグルグルと回転させながら空中へと飛んでいく。リーファがどの木の枝にぶつかるか計算すると、マサキは一撃の重さと攻撃力に優れ、刀身の長さを自在に設定出来るソードスキル《春嵐》を発動する。
「おりゃぁぁぁ!」
そんな森に男らしい叫び声が響き渡り、森の奥から鉄の塊が飛翔してきた。戦闘の為にどうしても索敵を怠ってしまっていたマサキも、ソードスキルを発動する前にその妙な鉄の塊に目を見張る。
「……危ねぇシリカ!」
「えっ? キャッ!」
負傷したクラインが付き添っていたシリカを突き飛ばすと、その鉄の塊がクライン
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