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SAO−銀ノ月−
第椅子取話 参
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二刀で防御に徹して敵の攻撃を防ぎ、近づいて来た敵を、背後でチャンスを窺っているリーファが奇襲する。そのような陣形を取っているのが明らかな相手に、シリカたちのチームは攻めあぐねていた。しかしピナの牽制だけで勝てるわけもなく、クラインがカタナを抜いてルクスに立ち向かう。

「怪我したくなかったら降参すんだな!」

「そんな三流悪役みたいなことを言われても……ね!」

 鋭く切り払われるクラインのカタナを、やはり白い剣で防いだものの、その勢いは防ぎきれずルクスは後退してしまう。そこをすかさずリーファが、あたかもかの『スイッチ』のように切り込むと、ルクスに追撃を加えようとしていたクラインに突きを叩き込み――これは避けられてしまったが――援軍に加わろうとしていたシリカを牽制する。

 その間にルクスが復帰すると、リーファの攻撃をギリギリのところで避けていたクラインを黒の剣が襲う。しかしクラインもさるもの、攻撃が失敗したと見るやシリカを連れてさっさと後退する。

「すまないリーファ、少し圧された。……やはり流石は攻略組か……」

「ううん大丈夫。無理しないで!」

 リーファもルクスも、この戦闘で勝とうなどとは全くもって考えてもいない。狙うは相手の意表をついての撤退――数で劣ってしまっている以上、戦闘での勝利は奇襲を除けば望めない。リーファ個人としては悔しい限りだが。

 辺りには視界の悪い林と、シリカたちとしては逃がしては分が悪いが、あからさまに勢い任せで攻め込めんで、リーファとルクス相手に手傷を負うことは避けられない。そうなれば、ポイントが加算されたところを他のチームに狙われた時、リーファチームの後を追うことは必至である。

「…………」

 ……そしてその戦いを無言で眺めていたマサキが、彼のみが持つ武器、風刀《蒼風》の柄に手をかけると、ゆっくりとルクスに向かって歩いていく。SAO帰還者であるルクスもその名は聞き及んでいる、穹色の風を前にしてルクスの手に自然と力が込められる。その一挙手一投足を見逃さんと、マサキの動きを注意して見ていると――

 ――その姿が消える。

「消えっ……!?」

 ルクスの視界から消え去り、どこへ行ったか――と周囲を確認しようとするより早く、この世界に似つかわしくないYシャツ姿の少年が懐に出現する。制約はあるものの、ほぼ自由自在の瞬間移動を可能とする風刀スキル《瞬風》。必要以上にマサキのことを注視していたルクスは、計画通りにマサキの狙いへとはまってしまう。

「くっ……!」

 ルクスは急ぎ二刀を防御に回すものの、もちろん間に合うこともなく。マサキはそのまま、《蒼風》の刀身を暴風に変換して発射する――ソードスキル《神渡し》――と、ルクスの軽い身体が背後に吹き飛んでいく。


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