ワールド・プレディート〜クロスクエスト〜
ワールド・プレディート
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々は、足を踏み出した姿勢のまま固まり、身動きを取っていない。それどころか、宙をまう落ち葉や、道端の水たまりから跳ねるクラウンの雫、そして車が噴き出すガスすらも、停止し、制止し、一切の鼓動を伴っていない。
風すらも停止し、なぜ息ができるのかすらよくわからないこの状態の空間で――――もっとも普段と異なっている異様な光景は、空を蓋う奇怪な紋章だ。
それは何か。
今まで、一度も見たことが無いマーク。
虹色の翼を、虹色のリングが囲って、その上を真っ白な鎌が通過している、異様な紋章。
その紋章から伸びる細い線が、まるで這うように空を覆い、世界を包んでいるのだ。
あれが、この空間を生み出している元凶なのだろうか。そもそも、何故今自分は動けているのだ……?
「やぁ……どうやら、効いている、ようだね……」
かすれた、苦しげな声が、後ろから聞こえた。頗臨は弾かれたように振り返り――――そこに、異常とも取れる光景を見る。
一人の、血まみれの青年が、十二歳前後の黒髪の少女の肩を借りて、こちらまで近づいてきているのだ。それは良い。いや、厳密には良くないが、今自身が受けているそれ以上の驚愕と比べれば、なんてことはない異常だ。
その、血まみれの青年と言うのが――――かのクリスマスの折、己を奇妙な異世界へと導いた超越者、アスリウ・シェイド・マイソロジーであるから、この状況が想像以上の『最悪』の事態であるのだ、と察せたが故。
「貴方は……! その身体はどうしたんです……!?」
「く、ふふ……いやぁ、少々ヘマやらかしてね……うわぁ、何千年ぶりだろうね、割と真面目に自分が勝てない存在に出会ったの」
「まさか……! 貴方が敗北する相手だって!?」
頗臨はこの青年に対して、それほど詳しいわけではない。圧倒的な力を持っていて、あのタツですら手こずるという話を聞いたことがある程度だ。
だが、そのタツが世界でもトップクラスの実力をもつ《神》の末席だというのだからたちが悪い。事実上、この男はその世界最強よりも強いという事なのだ。
それにたしか、彼にはあらゆる事象が透過するという話を聞いたことがある。事実上ダメージを受ける事の無い彼が、ここでこうして傷だらけになっている――――そのこと自体が、すでに異常事態なのである。
アスリウは、彼を知っている人が見たら驚くほどに憎々しげに顔を歪め、当り散らした。
「くそっ……まさか【法】を展開してくるとは思わなかった……ッ! やってくれたな天宮……やってくれたな『十番』……ッ! 僕が《無法》だという事を知っての行動か……!」
「シェイド様、落ち着いてください、ほら」
喚き散らすアスリウに、彼に肩を課していた黒髪の少女……ア
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