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映画
5部分:第五章
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第五章

「プール使うから」
「プールでですか」
「今度は写真集とDVDの撮影があるけれどそっちは」
「グアムでしたよね」
「その時は期待していて」
「はい」
 マネージャーの今の言葉に素直に頷く。
「グアムですね」
「はじめてのね。まあとにかくよ」
 マネージャーは話を戻してきた。
「そういう方針で行くからね」
「映画、上手くいけばいいですね」
「それは夕菜ちゃん次第よ」
「私次第ですか」
「主演よ」
 マネージャーはまたこのことを言った。
「主演。それはわかるわよね」
「はい、それは」
 どれだけ天然でもこれは充分過ぎる程わかることだった。
「じゃあそれで」6
「そうよ。夕菜ちゃんがどれだけ頑張るかで決まるから」
「凄い。責任重大ですね」
「そうね。けれどその責任を楽しんだら?」
「責任を楽しむって」
「プレッシャーだけれどね」
 マネージャーは今度は責任をこう言い換えた。この辺りは彼女の見事な話術だった。
「それを楽しめたら一流だって言われてるのよ」
「プレッシャーを楽しめたらですか」
「それができなくても」
 流石に十六歳の女の子にそれを求めることも無理な話だと思っている。マネージャーはそうしたことをわかりながら夕菜に話をするのであった。
「いつも通りやったらいいわ」
「いつも通りですか」
「そうよ、いつも通り明るく」
 夕菜の持ち味の一つである。
「気楽にやりなさい。いいわね」
「わかりました。それじゃあ」
「後ろは任せてね」
 マネージャーとしての責務は忘れてはいないのだった。
「それで。いいわね」
「はい、じゃあ御願いします」
 これで話は決まりであった。
「私はいつも通り」
「前へ前へ」
 夕菜の座右の銘でもある。
「そうでしょ。行きなさい」
「はい、わかりました」
 こうして彼女は佐藤のオファーを受けることになった。そしてまずは発表会に挑んだがこれはすぐに話が終わった。そこにいた佐藤にこれといって声をかけられることはなかった。
 夕菜はまずこのことにキョトンとした。ただ宜しく、と挨拶をされただけだったからだ。映画に踏み入った話を聞くと思っていたからこれは意外だった。
「あれ、これだけ?」
「そうなのよ」
 帰りの車の中でもキョトンとしたままの夕菜に対して車を運転するマネージャーが話す。夕菜は助手席にいてそこでシートベルトをしたうえで座っていた。
「あの人はね」
「無口なんですか」
「凄い無口でも有名なのよ」
 ここでも有名なのらしい。夕菜にとってはこれもはじめて知ることだった。
「ゴルゴ13って仇名がある程に」
「ゴルゴ13ですか」
「だから。気にすることはないわ」
 運転している為顔を正面に向けたままだがそれでも彼女に
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