暁 〜小説投稿サイト〜
dark of exorcist 〜穢れた聖職者〜
第26話「喪失と憎悪の悪魔狩り」
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
だけで終わりではない」

「…は〜い……」




























―――再調査から3時間



「う〜ん、特に何も手がかりになりそうなものはありませんね……」

「…………交戦音を近隣住民が聞いていたとは言え……目撃情報がないんだ。もとから手がかりがない
といってもいい。……あちこちに戦った痕跡はあるが…悪魔の種別を特定できそうなものが無いな」

ハルが瓦礫や何かの残骸を漁るなか、キリシマは無表情で廃工場の中を見渡す。
何もしていないように見えて、実はハルよりも手っ取り早い手段で手がかりを探していた。


キリシマの持つ最大の長所は、神速とも呼べる素早さと、「究極の第六感」である。
「究極の第六感」とは、キリシマのみが持つ特殊技能で、キリシマが独自に身につけた才能だ。
普通の人間が”何となく”感じる気配や嫌な予感を、キリシマは”色濃くハッキリと”感じ取ることが
できる。それを活用することで、遠くの悪魔の存在にいち早く気づいたり、攻撃の予兆を感じ取って
完璧なタイミングで回避行動をとることができる。
この能力は、戦闘だけでなく、今回のような探索にも非常に役立っている。


「どうですか? 先生。この辺りに何かありますか?」

「……近くに悪魔の気配はない。……だが、なんだ?」

「えっ、どうしたんですか?」

「…………風の流れが、少しおかしい……」

そう言うと、キリシマは廃工場の中央まで歩きだした。
廃工場の中央にたどり着くと、日本刀を置き、無表情のまま意識を集中し始めた。








「………………そうか。……そういうことか。」

「先生?」

ハルがキリシマの顔をそっと覗き込む。



「先…生?」

恐怖が背筋を駆け巡った。無意識に手が震える。
覗き込んで見えたキリシマの表情は、鬼の形相などという一言で片づけられるものではなかった。

この世の憎悪と怨嗟を全て詰め込んだような怒りの表情。
日本刀の鞘を軋むほど握りしめ、辺りの気配を全身全霊をもって探り始めた。

「先生……どう、しちゃったんですか?」

「……………お前は先にヴァチカンに戻れ」

「え……」

先に戻れと言うや否や、強靭な脚力をフル活用して廃工場の外に駈け出した。
駈け出す直前に呟いた小さな言葉は、ハルの耳には届いていなかった。







「…………………これ以上……喪ってたまるか………」























―――【ロシア・ウラジオストク 廃工場から約10km地点】


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ