宿泊
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ないと私達でもわからない音なのに、サバタ君には素で聞こえていたのね……」
「外部には漏らさないさ、そんな事をしても俺には何の得にもならんからな。それにわざわざ話さなくても大体想像はつく」
フェイトがプロジェクトFATEで生み出されたクローンだったように、この二人も何らかの実験か研究で生み出されたのだろう。どうも次元世界には生体実験に関するものが多いな。
「大体身体の中に何かあるという意味では、むしろ俺の方が混沌としているぞ」
太陽仔と月光仔の血に暗黒物質が混ざり、そこに原種の欠片、更に闇の書の闇であるナハトヴァールを宿している。他にも何かあった気がしたが、自分で言ってて結構混ざってると改めて実感した。
「そっか、サバタ君も色々複雑なのね。これは互いに不可侵、という事で話を付けてもいい?」
「それが最も穏便に済むだろうな。それで構わない」
下手な腹の探り合いは互いに何の利益にもならないため、俺達はそこでこの話を終わらせた。掘り起こす必要の無いものは、暴かずにそのままでいいのだ。
「ふぅ〜……。あぁ〜ここで終わって良かった! 私、こういう交渉事とか全然ダメなのよねぇ」
「クイントはこういうごちゃごちゃした会話は苦手分野だものな。ま、そういう事を考えるのは夫の役目さ」
「やだぁ、もう! あなたったら!」
途端に惚気る二人の様子を見て、娘のギンガもスバルも妙に疲れた目で呆れていた。ま、まぁ……夫婦円満な家庭は何より良いことだ。度が過ぎるとアレだが、愛を享受できるのは幸せな事に違いないのだから。
ひとまず二人は放置し、俺は初めての次元世界移動をした“ムーンライト”に不備や故障が起きていないか、メンテナンスをしておいた。すずかほど知識は無いが、どこかおかしい所ぐらいなら俺でも見つけられる。
と言っても、この“ムーンライト”は相当頑丈に出来ているようで、エンジンやマフラーに擦り切れた所や壊れた所は一切見当たらず、フレームもそこまで傷がついていなかった。せいぜいタイヤにアルザスの土がこびりついていたぐらいだった。当然か、何かにぶつけたり、事故を起こしたわけでもないのだから。
くいくい……。
「……俺のマフラーは引っ張る物じゃないんだがな……スバル」
メンテナンス中に、さっきから物陰に隠れながらチラチラと見ていたスバルが今、俺の“月光のマフラー”を掴んでいた。そういえば母の形見であるこのマフラーも、長い間ずっと使っていたから端の部分が擦り切れて来ていた。そろそろ補修しておかないとな……。
「それで、何か用があるのか?」
「ん。ギン姉がね、ちょっと来て欲しいんだって」
「ギンガが? ……わかった、どこへ行けばいい?」
「こっち……」
そういう訳でメンテナンス
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