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英雄は誰がために立つ
Life11 聖書の子らの新たなる道 −赤VS白− −不敗VS逆転劇−
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目の前に、救世主が現れる。救世主にしては似合わない存在だが。

 シュッ!

 この部屋の内外の罠と警戒網を潜り抜けて来た仮面で貌を覆っている黒子が、バルパーの前に突然現れた。

 (な!?なんだコイツは・・・)

 そんなこと思っていると、当の黒子の口が開いた。

 「バルパー・ガリレイだな?私と共に来てもらおう。何、お前にとっても悪い話では無い筈だ。何れ、貴様を追放した教会上層部とやらにも復讐できるぞ」
 「!?むぐむぐ!」

 その言葉に、電撃が走ったように体を揺らすバルパー。
 その反応を了承と受け止めた『アサシン』は、バルパー・ガリレイを持ち上げてから瞬時にその場から消えた。
 後に残されたのは士郎の投影で造り出された鎖で拘束されたまま、意識まで絶たれている堕ちた天使だけ。

 こうして『アサシン』によって、バルパー・ガリレイはいつの間にかに強奪されたのだった。
 その事実をサーゼクス達が知るのは、渦の団(カオス・ブリゲード)が引き上げた後になった。


 −Interlude−


 士郎がサーゼクスと大声で会話しながらバーサーカーを迎撃している時に、白龍皇ヴァ―リは漸く立ち上がっていた。

 「ゴホッ、あれが幻想殺しの素顔か・・・。外見は俺とそれほど変わらないように思えるが、その上で人間のままでありながら格上か。まいったな」

 言葉ではその様に零すが、表情は嬉々そのものだった。

 「しかし、あの巨漢を相手にしている以上、俺の相手はお前たちと言う事なのか・・・」

 嘆息しつつ振り返るヴァ―リ。
 彼の視線の先には、隻腕状態でもやる気だけは十分のアザゼルと、リアスとギャスパーを守るように立ちはだかっている一誠だ。

 「おう、俺達じゃ不足ってか?ヴァ―リ。幻想殺し――――あの、藤村士郎って奴から見たらお前でも不足じゃねえか!俺達で我慢し解けよ。そして今日でお前の生は終わりだ」
 「確かにご尤もだが――――」

 視線をアザゼルから一誠に移すヴァ―リ。

 「――――いくら赤龍帝を宿しているからと言って、兵藤一誠ではつまらなさすぎる」
 「うるせぇよ、このバトルジャンキー!こちとら、部長たちとキャッキャッウフフと出来れば文句ないんだよ!誰がお前なんかと好き好んで争いたいもんかよ!」

 一誠の言葉に改めて嘆息するヴァ―リ。

 (こんなのが俺のライバルか・・・だが、待てよ?)

 あまりにも実力差が有り過ぎる宿敵を見ながら、とあることを思いつくヴァ―リ。

 「兵藤一誠、君は復讐者に成ると言い」
 「は?何言っているんだお前!」
 「頭の悪そうな君にもわかるように説明するよ。まずは――――」

 そう、純粋な悪意を語り始めるヴァ―リ。

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