2部分:第二章
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第二章
「そういうことも気にならないか」
「確かに」
「だからだ。少し厄介な宝かも知れないぞ」
「厄介な、か」
「それでも俺はその剣に興味がある」
彼は言うのだった。実はクリスもアーノルドも冒険者でありそれと共にとレジャーハンターでもある。宝を見つけるのは仕事でもあるのだ。
「だから行くが」
「それは俺も同じさ」
アーノルドもまた相棒の言葉に頷いた。短く刈った黒髪と引き締まった顔をしているがその顔が陽気に笑って黒い瞳からは強い光を放っている。
「戦士だしな。俺は」
「そういうことか」
「そうさ。それじゃあ」
「やはり行こう。だが」
「気をつけてだな」
「そういうことだ」
そのことを確認し合って今の打ち合わせは終わった。次の日にはそのベラドウナの森に向かいはじめた。道中で二人は彼等にとってはあまりよくない噂を聞いたのだった。
「何っ、あいつもか」
「どうやらそうらしいな」
クリスがアーノルドに述べていた。二人は今広い道を歩いている。その途中でクリスがアーノルドに対して言ったのである。
「あいつも剣を手に入れようと動いているらしい」
「そうか。そりゃやばいな」
それを聞いたアーノルドの顔が急激に曇ってきていた。
「あいつが動いたってなるとな」
「ああ。赤眼のオズワルド」
クリスもまた不吉な顔でそのあいつの名を述べた。
「あんな奴にその剣が手に入ったらな」
「大騒ぎどころじゃないな。下手をしたら国が一つか二つ潰れるぞ」
「じゃあそれを止める為にもな」
「行くか」
正義感もここで加わった。とりあえず二人は悪人でもなかった。それなり以上に義侠心やそういったものも併せ持っているのである。
「一刻も早くな」
「ああ」
こう言い合って森に向かう。ベラドウナの森は深く樹海そのものである。しかし二人はクリスの魔法による方位の確認とアーノルドが持っている精巧な地図でその樹海を先へ先へと進んでいくのであった。途中出会った熊や狼を撃退しつつ。
「何だ?この森の熊にしろ狼にしろ」
「ああ。すぐに逃げていくな」
「それにそれ程大きくないしな」
「性質も大人しいな」
二人はとりあえず樹海のかなり奥までこれといって手強い怪物等を倒すこともなく辿り着いたことに気付いたのである。
「マンティコアとかそういったのはいないな」
「これだけ深い森だといそうなのにな」
「全くだ」
「それには訳がある」
ところがここで何処からか声がしてきた。
「それにはな」
「んっ!?何か言ったか?」
アーノルドは最初その声をクリスのものだと思った。鬱蒼と茂った森にいるのは二人だけである。周りは緑に覆われ先は黒いものになっている。そんな中なのでいるのは彼だけだと思うのも当然だった。
「訳って何だ?」
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