6話 交叉する視点
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て戦闘力に秀でたクラスではないが、それでも超越存在たるサーヴァントの端くれ。
いかに切嗣が魔術師といえど太刀打ちできる相手ではない。セイバーの助勢は期待できなかった。
現状ではセイバーと切嗣の距離が、アサシンと切嗣の距離よりも遥かに遠い。
そもそもセイバーは切嗣がここにいるという事実ですら了解していないのだから、咄嗟に反応できるわけがない。さらに加えて彼女はランサーとの死闘の真っ最中である。
たとえマスターを屠られて魔力の供給が途絶えたとしても、サーヴァントは独力である程度の時間は現界は保てるから、ランサーのマスターを倒しただけで即座にランサーをも排除できる、というわけではないのだ。残る手段があるとすれば──令呪。マスターの令呪による命令権は、サーヴァントの能力の範囲内に留まるものではない。サーヴァントに抵抗のない、マスターとの同意に基づいた命令であれば、令呪はその英霊のポテンシャルを逸脱した奇跡すらも可能にする。
いざとなればセイバーをいま切嗣のいる場所でまで瞬間移動させ、アサシンからの防衛に当たらせることも不可能ではあるまい。
ただし、その場合には無防備なままのアイリスフィールがランサーの前に置き去りにされる羽目になる。
──諸々の要素について、切嗣は思案を総動員して検証し、すみやかに結論を下した。
ランサーのマスターを仕留める絶好の機会ではあるが、今夜のところは見送るしかない。
一旦そうと決めれば、切嗣はそれ以上何の未練も残さなかった。
「舞弥、引き続きアサシンを監視してくれ。僕はランサーを観察する」
『了解』
静かに吐息をつくと、切嗣はワルサーの思い銃身を二脚架をに預け、心を落ち着けて暗視スコープの映像に見入った。策を巡らす余地がなくなった以上、切嗣にとって今夜のセイバーの戦いは徒労でしかない。みすみす宝具を使ったりせず、程良いところで切り上げてアイリスフィールともども逃走してくれれば有り難いのだが──あの誇り高い英霊に限って、そういう思考は期待できまい。ともあれ、一度ぐらいは自分の手駒の力量を見極めておくのもいいだろう。
「……では、お手並み拝見だ。かわいい騎士王さん」
○
「……そうか。その槍の秘密が見えてきたぞ、ランサー」
セイバーは低い声でつぶやいた。相見えた難敵の手強さを、あらためて噛みしめながら。
あの赤い槍は、魔力を断つのだ。
とはいえ魔術の効果を根元から破棄したり解除するほど強烈なものではない。
今もセイバーの鎧は健在だ、『風王結界(インヴィジブル・エア)』も問題なく機能している。
槍の効果は刃の触れた一瞬のみ。その刹那だけ魔力の流れを遮断し、無力化するのであろう。
なるほど宝具として格別の破壊力を誇るものではないが、それでも充分に脅
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